1. はじめに:小規模水道支援には「多層的なバックアップ」が必要である
日本の水道が直面している課題の中でも、特に深刻なのが小規模水道の持続可能性問題です。人口減少による収益の低下、技術職員の不足と高齢化、老朽化した施設の更新費用。これらが重なり合う中で、従来の急速ろ過や高度処理システムを維持し続けることが、現実的に困難になっている地域が増えています。
こうした地域に必要なのは、単発の技術的アドバイスではありません。調査・技術提言・設計・施工・導入後の運用サポートまでを、一貫して担える「多層的な支援体制」です。
弊社はこの課題に応えるため、NPO法人「地域水道支援センター(CWSC)」と設計コンサルタント会社「三恭コンサルタント」とのパートナーシップを構築しました。非営利組織の公共性と客観性、専門コンサルタントの技術力と実績、そして弊社の機動力と長期併走。この三者が連携することで、これまで手が届かなかった地域への包括的な支援が可能になります。
2. NPO「地域水道支援センター(CWSC)」という知の集積
NPO法人「地域水道支援センター(CWSC)」は、2006年に設立された、粗ろ過・緩速ろ過技術を主要な技術とし地方水道や小規模水道を支援することを理念に設立されたNPO団体です。
この技術は、薬品も複雑な機械設備もほとんど必要とせず、土木構造物と自然の生物作用を活用する水処理方式です。ライフサイクルコストが低く、維持管理の負荷が少ないため、人手不足と財政制約に直面する小規模水道との相性が極めて高い。CWSCはこの技術の普及と継承を中心的な使命として、以下の活動を継続してきました。
まず、毎年開催する緩速ろ過セミナーです。自治体担当者や技術者向けに、粗ろ過・緩速ろ過の原理・設計・維持管理を体系的に伝えるこのセミナーは、技術の継承と人材育成の場として機能しています。
次に、自治体・企業団からの依頼に基づく実証試験の実施です。「本当にうちの原水に使えるのか」という疑問に対して、実際のデータをもって答えを出す。この実証プロセスが、導入判断の信頼性を高めます。
そして、設計・施工監理を通じた地域への実装支援です。技術の「理論」を「動くシステム」に変えるところまでを支援できることが、CWSCの強みの核心です。
弊社代表は2025年からCWSCの理事として参画しており、NPOの公共的な立場と弊社の機動力・事業推進力をシームレスに結合する役割を担っています。
3. 三恭コンサルタントとの戦略的パートナーシップ(2026年4月締結)
2026年4月、弊社は三恭コンサルタントと正式な戦略的パートナーシップ協定を締結しました。
三恭コンサルタントの三田社長は、CWSCの理事としても活動する、粗ろ過・緩速ろ過の分野における国内屈指の実務家です。同社がCWSC活動の中で手がけた「粗ろ過×緩速ろ過」の設計実績はすでに10件近くに上り、実際に稼働し続けているシステムを複数持つ。これは、この分野において国内で極めて稀な実績です。
このパートナーシップが単なる業務提携にとどまらない理由は、技術思想の共鳴にあります。「シンプルで長寿命なインフラが、人口減少時代の水道を救う」という信念を、弊社と三恭コンサルタントは共有しています。同じ方向を向いているからこそ、案件ごとの摩擦なく連携でき、自治体に対して一貫したメッセージと高品質な成果物を届けることができます。
4. この連携が自治体にもたらすメリット
この三者連携が自治体にもたらす価値は、以下の四点に整理できます。
中立性の担保
NPOであるCWSCが調査・提言を担うことで、特定の企業や製品に偏らない客観的な評価が可能になります。「この地域の原水に粗ろ過×緩速ろ過が本当に適しているか」という問いに、営業的な動機なしに答えられる。この中立性が、自治体の意思決定の質を高めます。
技術的信頼
三恭コンサルタントによる設計・施工監理は、10件近い実績に裏打ちされた確かな技術力に基づくものです。「理論上は機能する」ではなく、「実際に動き続けているシステムを作ってきた」という実績が、設計の信頼性を保証します。
持続的な併走
導入して終わりではありません。弊社が長期的な運用アドバイスを担い、自治体担当者の異動や技術継承の問題にも継続的に対応します。水道は数十年単位で使い続けるインフラです。短期的な関与で終わらず、長期にわたって伴走できる体制を整えていることが、この連携の大きな特徴です。
一気通貫の問題解決
調査・提言(CWSC)→ 設計・施工監理(三恭コンサルタント)→ 運用サポート(弊社)という流れで、小規模水道が直面する課題を一気通貫で解決できます。複数の窓口に相談する手間なく、この連携チームに相談することで、必要な支援のすべてにアクセスできます。
5. 結び:地方都市・小規模集落の水道に「光」を
「もう、うちの地域では安全な水道を維持できないかもしれない」と、諦めかけている自治体があれば、ぜひこのチームを頼ってください。
採算が厳しい。技術者がいない。更新費用が出せない。そうした条件の中でも、粗ろ過×緩速ろ過という選択肢が現実的な答えになるケースがあります。そしてその答えを、調査から設計、導入後の運用まで、一貫してサポートできる体制が整いました。
2026年。三恭コンサルタントとの新しいパートナーシップを得たことで、私たちの支援のスピードと守備範囲はさらに広がっています。
100年後も、その集落の蛇口から安全な水が出続ける未来を。私たちはこのチームで、共に作っていきます。