粗ろ過の排泥の自動化をもっと長期間に。「VALCON Ver.2」は最大180日のスケジュール制御に対応

  • URLをコピーしました!

1. 山奥にある排泥弁を、どうやって定期的に開ける?

緩速ろ過装置の前処理として使用する上向流粗ろ過装置は、水源に近い山間部など、電源や通信環境が十分に整っていない場所に設置されることがあります。

粗ろ過では捕捉した土砂などを排出する「排泥」が重要な維持管理作業になります。しかし、担当者が山奥の現地まで「15日に1回」「28日に1回」と定期的に足を運んで排泥のために弁を操作するのは、決して簡単ではありません。山間部の施設であれば、アクセスに時間がかかることも多く、特に冬季や悪天候時には現地への移動そのものが困難になる場合もあります。

そこで私たちが開発したのが、スケジュール設定によって電動弁を自動開閉する制御装置「VALCON」です。

電源がない。電波が届かない。人が毎回足を運ぶのは難しい。それでも、定期的な排泥は必要。こうした現場の条件を前提にした自動化装置として、VALCONは生まれました。


2. VALCONとは?

VALCONは、KITZの12V駆動電動弁に電源を供給し、あらかじめ設定したスケジュールに従って弁の「開」「閉」動作を自動的に行う制御装置です。

大切なのは、VALCONそのものが弁ではないという点です。VALCONは電動弁を動かすための制御装置および電源供給装置であり、弁本体はKITZの12Vタイプの電動弁(ED-12シリーズ)を別途ご用意いただく必要があります。

基本的な仕組みは次のとおりです。

  • 日数と時刻を組み合わせてスケジュールを設定
  • 設定したスケジュールに従い、電動弁を自動で開閉
  • 電波・インターネット等の通信は不要
  • 最大3台の電動弁を個別にスケジュール制御
  • 電源は電動弁用に単3電池を8本、制御部用に9V電池を2本(年に1度の交換が必須)

粗ろ過装置の排泥弁にVALCONを接続することで、現地への訪問頻度を減らしながら、定期的な排泥を継続することができます。


3. 最大の特徴は「電源も通信もない場所で使える」こと

VALCONの最も重要な特徴は、「通信を使わない」ことです。

自動制御というと、インターネット・Wi-Fi・携帯通信・クラウド・遠隔監視といった仕組みをイメージする方も多いかもしれません。しかしVALCONは、これらをまったく使いません。あらかじめ設定した「日数」と「時刻」に従って、内蔵のスケジュール機能が電動弁を動かします。

粗ろ過の水源は、そもそも通信環境を整備すること自体が難しい場所に設置されることがあります。「IoT化したいが電波が届かない」「インターネット接続の工事ができない」という環境でも、VALCONであればスケジュール設定さえしておけば自動運転が可能です。

「通信環境がないことを前提にした自動化」——これがVALCONのポジションです。


4. 実際にどんな設定ができる?

VALCONの設定はシンプルです。「何日ごとに」「何時に」「どのくらいの時間、弁を開ける(または閉じる)か」を設定します。

例1:通常は閉じている排泥弁を15日ごとに開く

15日ごとに午前9時から5分間だけ弁を開き、排泥を行うという設定です。

通常は閉→15日ごとに9:00に開→9:05に自動で閉→通常状態へ戻る

例2:通常は開いている弁を28日ごとに一時的に閉じる

28日ごとに15時から15分間だけ弁を閉じ、その後再び開くという設定です。

通常は開→28日ごとに15:00に閉→15:15に自動で開→通常状態へ戻る

このように、粗ろ過で使用する「閉→開→閉」のパターンだけでなく「開→閉→開」のような動作パターンにも対応しています。また、最大3台の電動弁をそれぞれ独立したスケジュールで個別に制御できるため、複数の弁を異なる間隔・タイミングで動かすことも可能です。


5. VALCON Ver.2で何が変わった?

今回ご紹介するVALCON Ver.2の最大の変更点は、スケジュール設定期間の拡大です。

VALCON Ver.1VALCON Ver.2
最大スケジュール設定期間30日180日
3台まで個別制御
日数+時刻設定
30日以内の設定

Ver.2は最大180日になりましたが、それ以前の設定が使えなくなったわけではありません。15日ごと・28日ごと・45日ごと・90日ごと・180日ごとなど、用途に応じた設定が可能です。Ver.1で対応できていた30日以内の運用も、そのままVer.2でカバーできます。


6. 粗ろ過の排泥にVALCONが適している理由

粗ろ過装置は、原水に含まれる砂や土などの比較的大きな懸濁物を捕捉します。そのため、装置内部に堆積したものを定期的に排出する「排泥」が、安定した処理を続けるうえで欠かせない管理作業です。

この排泥をVALCONで自動化することで、次のようなメリットがあります。

  • 定期的な排泥を確実に実施できる
  • 現地へ足を運んで弁を操作する回数を減らせる
  • 電源のない場所でも運用できる
  • 通信環境のない場所でも運用できる
  • 排泥間隔を原水の条件に合わせて柔軟に設定できる

特に人が常駐しない小規模な施設では、「誰かが現地へ行って操作する」という前提を取り除けることが、長期的な運用の安定につながります。


7. 原水の濁度によって排泥間隔は変わる——どちらを選べばよいか

排泥の適切な間隔は、原水の条件によって異なります。

原水の濁度が高ければ、粗ろ過装置に捕捉される土砂等も多くなるため、排泥間隔を短く設定する必要があります。一方、原水が比較的清澄な場所では、排泥間隔を長く設定できる場合があります。

この観点から、VALCONのバージョン選択を整理すると次のようになります。

  • 排泥間隔が30日以内に収まる場合→VALCON Ver.1
  • 排泥間隔が30日を超える可能性がある場合→VALCON Ver.2(最大180日)

現時点では30日以内の排泥間隔で運用している施設でも、原水条件が変わった場合に備えてVer.2を選んでおくという考え方もあります。


8. VALCONとVALCON Extraの違い

VALCONには、対応する電動弁の口径に応じて2つのシリーズがあります。

製品対応電動弁対応口径最大設定期間
VALCON Ver.1KITZ ED-12シリーズ8A〜50A30日
VALCON Ver.2KITZ ED-12シリーズ8A〜50A180日
VALCON Extra Ver.1KITZ Kelmoシリーズ65A〜100A30日
VALCON Extra Ver.2KITZ Kelmoシリーズ65A〜100A180日

VALCONはKITZ ED-12シリーズ(口径8A〜50A)に対応した標準モデルです。住宅用・小規模水道用の粗ろ過装置では、排泥弁の口径が20A〜50A程度になるケースが多く、このシリーズが該当します。

VALCON ExtraはKITZ Kelmoシリーズ(口径65A〜100A)に対応した大口径モデルです。より大型の粗ろ過装置や、大流量の排泥弁が必要な用途に向いており、電源部を強化したモデルとなっています。


9. なぜ「電磁弁」ではなく「電動弁」なのか?

「弁を自動で開け閉めするなら電磁弁でもよいのでは?」と思われる方もいるかもしれません。

粗ろ過で扱う排水は、濁度がかなり高くなります。このような水を扱う場合、電磁弁では濁質の影響を受けやすくほとんどの場合目詰まりしやすいという弱点があります。

VALCONでは、このような用途を考慮してKITZの電動弁(ボール弁タイプ)と組み合わせる構成をとっています。電動弁はモーターで弁体を回転させる構造であり、濁質を含む水での使用に対して電磁弁より適しています。


10. 小規模水道の粗ろ過ならVALCON Ver.2

小規模水道などで使用する粗ろ過装置の排泥弁は、口径20A〜25A程度になるケースが多くあります。この場合、KITZ ED-12シリーズとVALCONの組み合わせが想定されます。

原水の濁度が比較的高く、15〜30日程度の間隔で排泥するケースではVer.1が対応できます。一方、原水条件によって排泥間隔が30日を超える可能性がある場合、または今後の条件変化に柔軟に対応したい場合には、最大180日まで設定できるVer.2が選択肢になります。

VALCONを導入する際は、本体に加えてKITZ電動弁が別途必要です。本体と電動弁を合わせて手配・設置することで、排泥の自動化が実現します。


11. 価格と必要なもの

VALCON本体(希望小売価格)

  • Ver.1:238,000円(税抜)
  • Ver.2:288,000円(税抜)

KITZ電動弁(別途必要)

  • 25Aの場合の目安:約35,000円程度

VALCONは制御装置のみのため、制御対象となるKITZ電動弁を別途ご用意いただく必要があります。導入を検討される際には、VALCON本体と電動弁の両方を含めたコストでご検討ください。

3台以上のお買い求めの場合、割引価格を設定できますのでその旨ご連絡ください。
なお、VALCONは受注生産であり、納期は最低30日間かかりますので、お買い求めの際はお早めのご発注をお勧めいたします。


12. 粗ろ過以外にも使えるVALCON

VALCONは粗ろ過の排泥自動化のために開発しましたが、「一定の日数間隔で弁を開閉したい」というニーズがある場面では、他の用途にも活用できます。

例えば、定期的に弁の開閉を繰り返しながら実験条件を変えていく研究・実験設備、一定周期で排水・排泥・洗浄などの動作を行いたい水処理設備、通常時は開いている弁を一定期間ごとに閉じるといった設備の自動切替などが考えられます。

特に「PLCを導入するほどの規模ではないが、単純な周期動作を確実に自動化したい」「通信設備を設置する予算や環境がない」「電源はあるが人が毎回操作するのは手間がかかる」「電源を都度用意するのは面倒」というニーズに対して、VALCONはシンプルな解決策になります。研究室や実験設備のように、短期間でさまざまな条件を試したい用途にも向いています。


13. まとめ:VALCONは「定期的な弁操作」をシンプルに自動化する

VALCONは、あらかじめ設定した日数と時刻に従い、KITZの電動弁を自動的に開閉する制御装置です。

通信環境や安定した電源のない山間部でも、スケジュール制御によって粗ろ過の排泥を自動化できます。VALCON Ver.2では、従来のVer.1の最大30日から最大180日への拡大により、排泥間隔が長い施設や原水条件に合わせた柔軟な設定が可能になりました。

大口径の電動弁が必要な場合は、VALCON Extraシリーズをご検討ください。

「定期的な弁操作を自動化したい」「現地への訪問回数を減らしたい」「通信環境がない場所でも自動運転したい」——そのようなご要望がございましたら、お気軽にご相談ください。

よかったらシェアください!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次