井戸掘削前に行う調査とは?既存資料調査・現地踏査・探査で地下水の可能性を判断する流れ

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※この記事は「井戸掘削とは?井戸を作る流れと注意点を初心者向けに解説」の続編です。
まだ井戸づくりの全体像をご覧になっていない方は、できれば前回の記事をご覧いただいた後に、本記事を確認いただくことを推奨いたします。

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井戸を作る場合、「地面を掘れば水が出る」と考える方もいるかもしれません。

しかし、実際の井戸掘削では、お客様からの依頼されて地点でいきなり掘削工事を始めることはほとんどありません。

地下の状態は地表から直接見ることができないため、事前にさまざまな情報を集め、「その場所で必要な水量を確保できる可能性があるのか」を判断する必要があります。

また、調査を行う目的は、必ずしも井戸を掘るためではありません。各段階の調査の結果によっては、「この条件では井戸は適していない」と判断し、掘削を行わないとう決断をし、撤退することも重要な選択肢になります。

この記事では、一般的に井戸掘削前に行われる調査について、それぞれの目的や分かること、どのように掘削判断につなげるのかを解説します。


目次

井戸掘削前の調査はなぜ必要なのか

井戸掘削では、地下水が存在する可能性がある場所を探し、必要な量の水を安定して確保できるかを判断する必要があります。

重要なのは、

「水があるかどうか」

だけではありません。

水道として利用する場合には、

  • 必要な水量を確保できるか
  • 継続的に水を取ることができるか
  • 水質に問題がないか
  • 利用目的に適しているか

を考える必要があります。

例えば、少量の水が得られる場所でも、家庭利用であれば十分な場合があります。

一方で、ホテルやレジャー施設など、多くの人が利用する施設では、水量が不足して利用できない可能性があります。

そのため、井戸掘削では段階的に情報を集め、次の調査へ進むべきか、あるいは計画を見直すべきかを判断します。


1. 要望調査:必要な水の条件を整理する

井戸づくりの最初の段階は、地下を調べることではなく、「どのような水が必要なのか」を整理することです。

確認する内容には、

  • 何に水を使用するのか
  • 必要な水量はどの程度か
  • 飲用利用するのか
  • 施設利用なのか
  • どの程度安定した供給が必要なのか

などがあります。

この段階で必要条件を整理することで、後の調査結果を正しく判断できます。

例えば、「水は出るが必要量に満たない井戸」であれば、目的を達成できません。

井戸掘削では、単に水が出る場所を探すのではなく、目的に合った水を確保できる可能性があるかを判断することが重要です。極端な話、要望を聞いた段階で、井戸ではないほうが適しているかもしれない、という判断もあり得ます。


2. 既存資料調査:過去の井戸情報から可能性を判断する

最初に行う調査として重要なのが、既存資料調査です。

これは、対象地域やその周辺で過去に掘削された井戸(水が出なかったり、水質が悪かったりした井戸を含めて)の情報を確認する調査です。

確認する情報には、

  • どの深さまで掘ったか
  • どのような地質だったか
  • どの程度の水量が得られたか
  • 水質にどのような特徴があったか

などがあります。

過去の井戸情報から、その地域で地下水を得られる可能性をある程度判断できます。

例えば、周辺で複数の井戸が掘られており、十分な水量が確認されている場合は、井戸掘削を検討する価値があります。

一方で、

  • 周辺の井戸がほとんど水量不足だった
  • 深く掘っても十分な水が得られていない
  • 水質上の問題が多い

といった場合は、その段階で井戸計画を見直す判断もできます。

既存資料調査は、比較的少ない費用で可能性を判断できる重要な工程です。

無理に次の調査へ進むのではなく、この段階で撤退することも、結果的には不要な費用をかけないための大切な判断になります。


3. 現地踏査:専門家が実際の土地を確認する

既存資料だけでは判断できない情報を得るため、現地踏査を行います。

現地踏査では、水理地質の専門知識を持った技術者が現地を確認します。

地下の地質や地下に存在する水についての専門家が、事前に地形図や地質図を準備したうえで、現地を歩きながら、井戸の成功の可能性や、井戸の適地を探すことになります。

具体的に確認する内容は、

  • 地形
  • 土地の高低差
  • 周辺の地質状況
  • 河川や沢などの水環境
  • 周辺土地利用
  • 井戸を設置できる場所

などです。

地下水は地形や地質と密接に関係しています。
特に日本は山地や谷地形が多く、地域によって地下水の流れや蓄えられ方が大きく異なります。

そのため、単純に「広い範囲を機械で調べる」だけではなく、現地の地形や地質を理解した専門家による判断が重要になる場合があります。

なお、既存資料調査とは異なり、現地踏査からは専門技術者による調査費用が発生します。

そのため、既存資料調査である程度可能性を確認したうえで、次の段階へ進むことが一般的です。


4. 電磁探査:広い土地から候補地点を絞り込む

電磁探査は、数km2など広い土地の中から地下水が存在する可能性がある場所を大まかに探すために利用される調査です。

例えば、町の水道のための井戸開発のように、広大な敷地の中で井戸の適地を探すような場合、水が出やすそうな場所をざっくり調べるための検討材料になります。

ただし、電磁探査はどの案件でも必ず必要になるわけではありません。

例えば、

  • 調べる土地が比較的狭い
  • 井戸を掘る候補地が明確
  • 現地踏査によって掘削場所の方向性が判断できる

場合には、電磁探査を行わないこともあります。

また、日本のように山や谷が多い地域では、地形や地質を理解した水理地質専門家による現地踏査の結果が、重要な判断材料になる場合もあります。

電磁探査は有効な調査方法の一つですが、万能な方法ではなく、現地条件に応じて適切に利用することが重要です。


5. 電気探査:地下構造をより詳しく確認する

電気探査は、地下の地層構造をより詳細に調べるための調査です。

地盤に電気を流し、地層ごとの電気抵抗の違いを測定することで、地下構造を推定します。

電気探査には主に以下のような方法があります。

垂直探査

ある地点について、地下方向の地層構造を調べる方法です。

深さ方向にどのような地層が存在するかを推定し、水を含む可能性がある層の位置を判断する材料になります。

具体的には、ある地点の深度方向の”比抵抗”の変化を確認することで、その場所なら地下何m~何mあたりで水が出そうかどうか、というような情報を得ることができます。

二次元比抵抗探査

垂直探査は、ある地点と、1点での地下の深度方向のデータを得るのに対して、二次元比抵抗探査では、ある直線の地下について、”比抵抗”の断面図を得ることができる探査となります。

地下の横方向と深さ方向の変化を確認できるため、垂直探査よりも多くの情報を得ることができます。また、この二次元比抵抗探査を一定間隔で実施したり、時に垂直に交わるように直線(探査上では”側線”と表現します)を設定し、探査をかけることで、地下の地層や水の分布を3次元的に解釈するのに使用することができます。

一方で、この2次元比抵抗探査は、専用の機械が必要なため、実施できる業者が限られることや、費用が高くなる傾向があります。

そのため、すべての井戸計画で実施するわけではなく、必要性を判断したうえで利用します。


調査結果によっては「掘らない」という判断も重要

井戸掘削前の調査は、井戸を掘るためだけに行うものではありません。

本当に重要なのは、無理に掘削を進めることではなく、目的に合った水を確保できる可能性があるかを判断することです。

調査の結果、

  • 十分な水量が期待できない
  • 水質上の問題が予想される
  • 掘削費用に対してメリットが少ない

場合には、井戸以外の方法を検討することもあります。

段階的な調査を行うことで、大きな費用が発生する掘削工事の前に、リスクを減らすことができます。


井戸が目的ではなく、安心して使える水を得ることが目的

井戸を検討される方が本当に必要としているものは、「井戸」そのものではありません。

必要なのは、

「安心して利用できる水」

です。

そのため、調査の結果によっては、井戸掘削が最適ではない場合もあります。

井戸が難しい場合には、別の水源確保方法や水処理方法など、目的に合わせた別の選択肢を検討することも重要です。

弊社では、井戸掘削だけを目的にするのではなく、お客様が必要とする水を安定して利用できるよう、調査結果をもとにさまざまな方法をご提案しています。

井戸が適している場合は井戸計画を進め、難しい場合には別の方法を含めて検討する。

そのように、目的から逆算した水づくりを行うことが大切です。

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