災害時給水ステーション完全ガイド:探し方・並び方・運び方(連載3/5回)

目次

災害時給水ステーション完全ガイド

── 探し方・並び方・運び方 + 身近な防災井戸 / 防火水槽について ──

この記事で分かること

  1. 自宅近くの給水ステーションを 1,2分で見つける方法
  2. ステーションの タイプ別ちがい と「いつ・どれだけ」給水できるのか
  3. 給水ステーションではない、 防災井戸・防火水槽 の実情
  4. 水タンクの 最適サイズ と “片道 1 回で運べる重さ” の目安

1. 災害時給水ステーションの探し方

手段所要時間手順
① 都防災マップ(PC/スマホブラウザ)
東京都防災アプリの最下部の「東京都防災マップ」からも飛べる
2分1) 東京都防災マップを開く
2) 右上の住所バーに調べたい場所の住所を入力
3)右下の+ーボタンで縮尺を調整
② 東京水道局アプリ「東京水」(iOS / Android)1 分1) アプリを起動→「メニュー」→「災害時給水ステーション」
2) 場所の入力方法は2通り。①住所を入力して調べる、②現在地から探す
3) 下部に表示されたリストから、目的の給水ステーションを確認する。「ダウンロード」で詳細な情報がA41枚でまとまった情報が見られる

ワンポイント
・徒歩 15 分以内にピンがない場合、隣接区市のピンも候補に。
PDF 一覧(東京都水道局「参考資料10」)オフライン保存 しておくと通信障害時に役立ちます。


2. 給水ステーション 3タイプについて

タイプ貯水量設置間隔(目安)給水開始メド*給水時間/給水日
A:100 m3 地下タンク100 m3約 2 km*発生 4〜6 時間後夜間・休日を含める
B:1,500 m3 大型タンク1,500 m3約 2 km*発生 4〜6 時間後夜間・休日を含める
C:給水所上記よりも大型(大きいものは数万m3)東京都水道局関連施設発生 4〜6 時間後夜間・休日を含める

*:東京都水道局のサイトでは、「夜間・休日を含めると記載されていますが、具体的に何時から何時までかはステーションの設備や、震災の状況などによっても変わると思われます。
*:給水ステーションは一般都民の活動時間(復旧業務など)の前後となる朝早い時間、夕方は混みあう可能性あり
*:東京都水道局のサイトにおいて災害給水ステーションは約2kmに1か所設置との記載。

*:東京都水道局のサイトでは、「3L/日/人を給水すれば、3週間程度に相当」との記載となっています。東京都水道局に許容受水量について確認したところ、特に制限は設けていないとのことでした。ただし、状況に応じてその他優先させるべき給水目的のために、都民向けの給水がステーションによっては制限される可能性があるとのことでした。おそらく近隣の病院など優先度が高い給水先への支援のために一時的に使えなくなる可能性のことと思われます。

給水ステーションの確認

自宅近くの3種類の給水ステーションを確認してきました。いずれの給水ステーションでも、平時ですので給水しておらず、また水栓の数や構造は見ることができませんでした。

A. 100m3タイプ(看板のみ確認。高校敷地内のため、中に入れませんでした)

説明書きに、1人3Lと表記がありますが、供給水量の制限は特に設けていないそうです(東京都水道局に確認)

B. 1,500m3タイプ(停電下でも発電機か、エンジンポンプで給水が可能なよう。)

応急給水口の窓の中にある配管に、仮設の水栓がついた配管/ホースを接続し、外で4~6か所程度の水栓で設置して使用するものと想定します。

C. 給水所タイプ

シャッターの前はすぐに歩道となっているので、シャッターよりも前方に仮設の水栓を設置するのは難しそうです。

おそらくシャッターの中に水栓が4つか6つ(片側2つか3つ)並んでいるものと思われます。

3. 身近な災害用水源~防災井戸 & 防火水槽~

災害時給水ステーションとは別の水源として、都内には防災井戸、防火水槽が、区の防災地図に記されています。ここでは、例として豊島区の防災地図を以下に載せます(クリックすると別画面で拡大して表示できます)。


この地図では、防災井戸は水色ので、防火水道はで記されています。

状況確認のため、自宅周りの防災井戸と防火水槽を各約10か所程度を確認したところ、場所がたまたま悪かったのかもしれませんが、以下のような結果でした。

  • 防災井戸:推定5%が有効
    本日、7か所を回って、発見できたのは1か所(多くは私有地内に設置されていることになっており、外から眺めて確認しました)。その1か所(お寺の中)もパッキンの破損で地下水をくみ上げられない状況でした。防災井戸は過去に整備されたものの、その後、その場所に家を建てたり、もう使用しないものとし、撤去された際に、情報更新がされていないものと推定されます。井戸ポンプの状態についてですが、日本で使われている手押しポンプはパッキンが渇き、縮みやすく、日ごろ常時に使用しているか、定期的にパッキン交換をしないとすぐ機能しなくなってしまうという弱点があります。今回の状況から、筆者推定ですが、防災地図に掲載されている5%の井戸が機能する程度かと思われます。
  • 防火水槽:推定30%が有効
    10か所回って、発見できたのは3か所。残りの7か所のうち、3か所は位置的に大型マンションの中であり、マンション自体の防火水槽と推測されます。今回発見した3か所については、防火水槽とわかる鋼製のマンホール蓋がありました。防火水槽は、地元の消防組合等の団体で管理されているものと思われます。
  • 以上をまとめると、地図に記載の防災井戸表記はあまりあてにならず、防火水槽は比較的見つけることはできると思いおますが、普段から地元の消防組合と関係性を持っておくか、災害後からでも彼らに積極的に声をかけ必要であれば彼らの活動に協力するなどがなければ、給水のタイミングもわからないのかなと感じました。

4. 備えておく「水タンク」4サイズ

持ち運びの便利さ、利用シーン別に以下のタンクをご紹介します。全種類使ったことはありますが、どれも使い勝手はそれぞれよいです。

サイズ満水重量適する場面参考リンク
10 L10 kg男性なら片手に1つずつ山善(YAMAZEN) 折り畳みウォータータンク 10リットル
5 L5 kg高齢者・子どもが持てるキャプテンスタッグの5L水タンク
2 L2 kg折り畳んでコンパクト。リュックやカバンに入れて持ち運べるサイズ。エバニューの2Lサイズ。空の時には折りたたむことが可能
1 L1 kg1,2個鞄に忍ばせておいて、会社帰りに給水ステーションに立ち寄れるエバニュー900ml。折りたたんでコンパクト

まとめ ── 確実なのは 給水ステーション 1択、だからこそ“事前チェック”

  • 断水時に確実に水を受水できるのは災害時給水ステーション
  • 一度検索して身近な給水ステーションを探しておく
  • (後日確認)タンクは男性なら10 L 2個。女性なら5 L 2個を片手に1つずつ持つか、1L/2Lの小容量容器をリュックやカバンに入れて
  • 防災井戸、防火水槽はあまり期待せず、使えたらラッキー程度かなと

次回は、「20 L/日で乗り切る! 入浴・トイレ・炊事のリアル節水術」
実際に災害支援者が災害現場で最小水量 で半年間を過ごしたコツも踏まえながら、災害時の水利用についてお伝えします。どうぞお楽しみに!

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