昔はきれいだった沢水が、最近は濁る
山間部には、昔から地域の沢水や湧水を生活用水として利用してきた住宅や集落があります。これまで特に問題なく使えていた水が、近年の大雨をきっかけに濁るようになった、というお話を耳にすることがあります。
例えば、次のようなお困りごとはないでしょうか。
- 大雨の後、蛇口から濁った水が出る
- 給湯器やボイラーの調子が悪くなった
- フィルターを設置したものの、すぐに詰まってしまう
- 水源が離れた場所にあり、大雨のたびに確認しに行くのが大変
濁りの原因は水源ごとに異なりますが、強い雨によって山の斜面や沢筋から土砂などが流れ込むことは、その一つです。昔と同じように使いたいだけなのに、水のほうが変わってしまった。そんな戸惑いを抱えている方は少なくないと思います。
フィルターを付ければ解決する?
濁りを取り除く方法として、まず思いつくのがフィルターです。
ただ、一般的なカートリッジ式のフィルターは、濁りが多い水を通すと短期間で目詰まりすることがあります。そのたびに交換や洗浄を行うのは、意外に大きな負担です。
かといって、高性能な浄水設備を導入しようとすると、個人住宅や小さな集落では、設備費用や維持管理費用が重くのしかかることがあります。
ここで大切なのは、「水をきれいにすること」と「無理なく使い続けられること」の両方を考えることだと思います。性能が高くても、費用や手間が続かなければ、その設備は長く使えません。
砂利と砂を使った、シンプルな浄水方法
そこで私たち水未来研究所がご提案しているのが、「粗ろ過×緩速ろ過」という組み合わせです。
粗ろ過とは
砂利などのろ材を使い、水に含まれる濁りを段階的に取り除く方法です。後段の緩速ろ過に流れ込む濁りを減らし、負担を軽くする役割があります。
緩速ろ過とは
砂の層を水がゆっくり通過する間に、物理的なろ過と、砂の表面に育つ生物の働きを利用して、水質を改善する方法です。複雑な機械装置や大量の薬品に頼らない構成が可能です。
この二つを組み合わせることで、比較的シンプルな設備で、安定した水処理を目指します。
なお、飲用水として使う場合には、水質検査や、必要に応じた消毒も重要です。ろ過設備を設置すれば、それだけで安全が保証されるわけではない点は、あらかじめお伝えしておきます。
お手入れは年に1〜2回程度を目指す
今回、特にお伝えしたいのが維持管理の手間です。
「砂を使った設備」と聞くと、砂を頻繁に洗ったり交換したりする必要があるのでは、と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
私たちがご提案する設備では、粗ろ過によって緩速ろ過への濁りの流入を抑えるとともに、省力型の砂かきを取り入れることを想定しています。維持管理の目安は次のとおりです。
| 管理項目 | 想定頻度 |
|---|---|
| 省力型の砂かき | 年1〜2回程度 |
| 設備の清掃 | 年1〜2回程度 |
| 日常の確認 | 簡単な点検・状態確認 |
| 大雨時 | 必要に応じて取水停止 |
ここで、誤解のないように補足します。年1〜2回というのは、砂かきと設備清掃の目安です。日常的な水質や設備の確認まで年1〜2回で済むという意味ではありません。また、これらは適切な水源条件と設計を前提とした目標であり、実際の頻度は水質や運転状況によって異なります。
大雨のときは、離れた場所から取水を止めることも
沢水を利用する場合、特に濁りが激しくなる大雨のときには、無理に取水しないことも大切です。
ところが、水源が山の中にあると、大雨の中をバルブ操作のために出かけるのは大変ですし、危険も伴います。
そこで、取水バルブの遠隔操作設備を追加する方法もあります。自宅などからバルブを閉められるようになれば、現場へ出向く負担を軽くできます。
ここでご紹介するのは、あくまで人が判断して操作する「遠隔操作」です。濁りを検知して自動で止める「自動制御」とは異なります。
また、取水を止めている間の給水については、貯水槽などによる対応が必要になる場合があります。取水停止の運用を考えるときは、この点もあわせて検討することが大切です。
一軒の住宅から、小さな集落まで
こうした設備は、大規模な浄水場だけのものではありません。一軒の住宅で使う小規模なものから、数軒〜数十軒で共同利用するものまで、水量に合わせた検討が可能です。
重要なのは、設備を必要以上に大きくしたり、高性能なものにしたりすることではありません。水源の状況、必要な水量、設置場所、管理できる人員などを踏まえて、その地域に合った設備を考えることです。
昔からの水源を、これからも使い続けるために
長年利用してきた沢水や湧水が、大雨のたびに濁るようになったからといって、すぐにその水源を諦める必要はありません。
まずは、どのようなときに、どの程度濁るのかを確認することが第一歩です。
水未来研究所では、粗ろ過と緩速ろ過を組み合わせた小規模浄水設備について、現地の状況に合わせた検討・設計を行っています。設備の導入ありきではなく、水源の特徴や利用状況を踏まえて、無理のない対策を一緒に考えます。
「最近、水が濁るようになった」
「フィルター交換が大変」
「今の水源を使い続けたい」
そんなお困りごとがあれば、ぜひご相談ください。
