東京都の水道インフラはどこまで“地震対応”できているのか?

首都圏の人口をご存じでしょうか。

県や市などの行政単位ではなく、世界では「都市圏」という概念があり、その概念では東京都市圏の人口は3,775万人で世界トップです(出典:Demographia 2016年4月)。2位はインドネシアのジャカルタで3,132万人。続く3位はインドのデリーで2,574万人となっています。

このような人口密集エリアで、もし首都直下地震が起きたら。

今回は、東京23区にスポットをあてて考えたとき、震災によりどのくらいの人が断水被災にあうのか、また、そんな時に、どのように対応すべきなのかを皆様と一緒に考えることができればと思います。

目次

東京23区の断水人口について

東京23区の人口は985.7万人(2024年6月時点)。
内閣府の被害想定によれば、首都直下地震発生による総断水人口は、最大1,100万人に達すると試算されています。

経過日数ごとの推移は次のとおりです。

経過日数断水人口(想定最大)
発生直後1,100万人
5日後300万人
14日後200万人
30日後50万人
出典:内閣府「首都直下地震等による被害想定(2022 年) p.19」

首都直下地震の震源地の場所にもよりますが、震源地は東京のどこかとなる可能性が高いようで、その際の23区の被災者としては、上記の数値の大半と考えることができそうです。

東京都水道局による首都直下地震の備えについて

では、実際に、そのようなインパクトのある首都直下地震に対して、東京都水道局はどのような対策を講じているのでしょうか。

その答えは、「事業概要(2024年度) 第3章 2 震災対策等」」に、かなり詳細に説明されています。

ざっくりとひとことで述べるなら、
想定可能なありとあらゆる対策を可能な限り実施済み、また実施中
であることがわかります。

東京都水道局の資料を簡単にまとめると、設備ごとの進捗は下表のとおりです。

ハード(施設)面の対策状況

設備区分耐震化状況(2023年度末)メモ
貯水池耐震化ほぼ100%完了二重化・構造補強済み
浄水場主要6施設の耐震化完了
配水池約80%で補強対策が完了2030 年度 100 % 目標
配水主管優先区間から更新実施中老朽・複雑な地区を優先
非常用発電機一部整備完了、今後も継続72時間分の燃料確保も合わせて進行中

ソフト面(計画、連携など)の対策状況

以上は、ハード面(設備面)の対応ですが、ソフト面の対応も以下の通り進んでいます。

  • 震災等応急対策計画:策定済み
  • 災害時を想定した訓練:年 2 回以上実施
  • 水道緊急隊:600名体制
  • 他水道事業体との相互応援協定:全国 50 事業体と締結

このように、日本の水道事業体の中でもトップとして、準備や備えを計画的に進めています。

詳細は、「事業概要(2024年度) 第3章 2 震災対策等」」にわかりやすく簡潔に記載されていますので、興味をお持ちいただけた方は、ぱらぱらっとでもご覧いただけるとよいかなと思います。

次回の記事では、①このような万全の備えが進んでいる東京で、震災でどのような状況が想定されるか、②各地で被災した中、水道緊急隊が優先順位をどのように設定しているのか、について、ご紹介します。

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