1. セミナーの成功で見えた「自分たちの水」への渇望
3月7日・8日の2日間、能登で小規模水道セミナーを開催した。
37名が集まった。自主管理水道を検討している集落の代表、地域づくりに関わる若手、オフグリッド生活に興味を持つ人、自治体の担当者。バックグラウンドは様々だったが、会場に漂っていた空気は一つだった。「自分たちの水を、自分たちで守りたい」という、切実で力強い渇望だ。
手応えは想像以上だった。
しかし同時に、一つの壁も見えた。話を聞くだけでは、超えられないものがある。水道の設計を理解することと、実際に手を動かして水道を作ることの間には、埋めなければならない深い溝がある。セミナーで得た知識を、どうやって現場で使える力に変えるか。その問いが、私の中でずっと残り続けていた。
2. 構想:本気の「小規模水道ワークショップ」
だから、次のステップを作ることにした。
ただし、よくある「体験イベント」は作りたくない。1日だけ来てパイプを繋いで「楽しかった」で終わるものではない。それは体験でも学習でもなく、ただの消費だ。
私が構想しているのは、インフラを作ることの苦労と責任を丸ごと体験する場だ。
具体的には、基本設計から始まる。水源の選定、流量の計算、施設の配置。次に、BOM(部品表)の作成と積算。何が何個必要で、いくらかかるのか。材料の調達とロジスティクスも含めて、参加者自身が考え、決める。そして現場での施工実務が、およそ1週間。
「次は自分で作れるようになる」ための、最短にして最も重いカリキュラムだ。
設計書の上に描かれた線が、地面の上に形になる瞬間。その過程を全部体験した人だけが持てる確信がある。私はその確信を、できるだけ多くの人に手渡したい。
3. 現場はすでに待っている
現場候補地はある。
実際に水を必要としている地域が、現場になる。模型の上でパイプを繋ぐのではなく、そこに住む人たちが本当に使う水道を、参加者の手で作る。失敗が許されない緊張感と、完成した時の本物の達成感。それは、演習では絶対に得られないものだ。
覚悟を持って来てほしい。
休みを調整して、現場に泊まり込んで、泥にまみれる。暑い日も、雨の日も、手を止めない。そういう経験が、人を変える。技術を習得するだけでなく、「自分はこれができる」という根拠のある自信が、その人の中に残る。
能登でのセミナーに集まった37名の顔を思い浮かべると、そのうちの何人かは必ずここまで来られると確信している。あのエネルギーは本物だった。
4. 持続可能な運営と「クラウドファンディング」の活用
正直に言う。このワークショップを参加費だけで持続させることには限界がある。
施工にかかる材料費、移動と宿泊のコスト、指導に関わる人件費。本気のカリキュラムには、相応のコストが伴う。そのすべてを参加者に負担させれば、来られる人が限られてしまう。
だからクラウドファンディングを活用したいと考えている。
この取り組みに共感してくれる人から、広く支援を募る。リターンは何が良いだろうか。完成した施設で浄化された水の配布、施工のプロセスを記録したフォトブック、完成施設への芳名板への掲載。支援者が「この水道の親」になれる仕組みだ。
お金を出すだけでなく、その水道の誕生に関わった人間として記録に残る。そういう形の支援が、共感をより深い繋がりに変えると思っている。
5. 共に「水」の自給自足を。
構想は、まだ動き続けている。
組織を正式に動かす段階にはまだ入っていない。しかし私の中では、全体像はおおむね見えている。あとは進めるだけだ、という確信もある。
ただ、一人でできることには限界がある。
技術を持つ人、現場を動かせる人、地域と繋がっている人、発信力のある人。それぞれの力を持った仲間が集まれば、この構想は現実になる。仕事としてではなく、日本の小規模水道に関わる一人の人間として、この動きをバックアップしたいと思ってくれる人を探している。
泥を被る覚悟のある人に、声をかけたい。
水道を、自分たちの手に取り戻す。その動きに”面白そう”と思った方は、ぜひ連絡してほしい。
一緒にやってみましょう。
