浄水器業界の闇

先日知り合いから、気になっているいくつかの浄水器について、水道の専門家としてのコメントを求められる、ということがありました。

さまざまな浄水器があり、中には自宅1軒分の浄水器のような大型のものから、特殊な効果をうたったものまであり、頂いた資料などをもとにそれぞれの内容を確認いたしました。

ちなみに、私は以前、浄水器を製造している会社に勤務していたこともありますし、浄水器はそもそも、上下水道や、その他の浄水技術をコンパクトに収納しなおしたものがほとんどですので、資料を読むとおおよその構造やどんなことがその浄水器で実現可能かは想像できます。

そういう視点で今回の浄水器を確認していくと、技術的にも価格面も妥当だなと思う浄水器がある一方、

  • 家庭用浄水器レベルでなぜあえてこの技術を使う??
  • 浄水技術の使い方や組み合わせがおかしいでしょ
  • このシステムからは、そういう効果は得られないでしょ
  • 科学的っぽいけど、そうではない単語の羅列

というようなものがいくつかありました。

まさに「販売先のお客さんは素人なので、何を書いてもわからないから、貴重な技術のように見せて高く売りつけよう」という魂胆が透けて見えるようです。

こういう浄水器を売るときには、

  • 水道水は危険
  • 特に塩素が悪の根源
  • 健康被害を受ける前に、水の質を劇的に変える浄水器を
  • 水の波長を、クラスターを、、、

というような浄水器が多いように思います。

資料を見ていると、どこから突っ込んでよいかわからないくらい、適当なことを書いている製品も多いのですが、怪しいかもと疑って良いポイントとしては、

  • ①家庭用浄水器なのに、「逆浸透膜」を使っている
  • ②「クラスター」、「波長」というキーワード

は最低限あるかなと思います。

簡単に説明すると、

①について、家庭用浄水器に”膜”を使った浄水器は珍しくもなく、さらに現在一番売れている浄水器は膜を使った浄水器だと思いますが、膜はその目の細かさによって、種類があり、だいたいMF、UFというレベルの細かさの膜が使われています。理由は、その程度の細かさで必要な能力を発揮することと、安いからです。

一方、逆浸透膜は、膜の中でも「一番目が細かい膜」であって、きちんと使えば塩水を真水に変えることができるくらいの性能があります。ただし、その「きちんと使うための条件」を家庭で実現しようとすると、、、というくらい大変で、かつ、できた水には本当に何も含まれていない純粋に近い水なので、逆に体に悪い水になります。

日本では、実際に、逆浸透膜を使用して海水を水道に変える浄水場が、福岡県と沖縄県にありますが、増水した水はミネラルが圧倒的に不足していて人体に悪影響を与えるため、処理した水を別の方法で作った水と混ぜて給水するなどの工夫をしています。

そんな逆浸透膜を、家庭用浄水器に使うことはかなり違和感がありますし、健康に良いと謳うことも違和感しかありません。

②について、クラスターや波長といいますが、その値はどう計るのでしょうか。製品なら性能を発揮しているかどうか確認されて、合格品が出荷されるのだと思いますが、クラスターや波長が整うことを謳っている商品なら、その検査基準があるはずです。

たとえば、水道水のクラスターが100だとして、その浄水器を通すと20くらいになる。最低でも30以下の時に合格としてその製品を出荷する、みたいな話です。

再現性を担保できるから商品として成立すると思いますが、クラスターや波長と言われると、その辺があいまいであり、それっぽい適当な話で一般大衆をだまして売りつけようとしている印象しかありません。

また、言葉巧みに売られている怪しい浄水器こそ高額で売られています。数が出ないので高値でないと利益を確保できないのだろうと思います。

具体的な商品名は示しませんが、そんなことを感じた今回の依頼でした。

もし、具体的にこの浄水器はどうですか??とお尋ねしたい場合は、コメントからお尋ねいただければ簡単なコメントで返答します。

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