老朽化した水道配管って、なぜ全部更新が前提なの??

埼玉県八潮市の下水道の崩落事故と時期を同じくして、全国で水道管の破裂事故も同様にニュースで取り上げられるようになり、

水道配管の老朽化問題が世間で周知されることとなりました。

ニュースなどで報道されているように、老朽化配管の総距離は令和4年度のデータで、48,797kmに達しています。

ただ、この総延長は、これまでに設置した水道配管のうち、設計上の耐用年数である40年を超えたものを、単純に足し合わせた数字です。

ここで、1つ疑問がわきます。

この48,797kmの水道配管は、全部更新しないといけないものでしょうか?

全国にはいろいろな地域があります。

以前、水道管を設置したけど、過疎化が進み、住民がいなくなってしまい、もう使われていない水道管もあります。

そういう水道管も現時点では、更新対象の水道配管として含まれています。

なぜか。

それは、水道の「給水区域」というものが関係しています。

水道はそのサービスを開始する際に、水道サービスに関する計画書を国に提出して、認可を受けて水道事業を開始しています。

その計画書では「給水区域」という、このエリアに水道を給水します、という区域を設定しますが、

水道法において、「水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない。」(水道法第15条)とされているのです。

つまり、給水区域内の住民から水道接続の希望があり、一度水道管を設置したあと、その住民が引っ越して、水道供給の必要がなくなっても、

今後、別の住民がその地域に住み、水道供給を求める可能性があり、その水道管を撤去したり、更新の対象外とすることは現時点では行われていないのが現状となっています。

加えて、この「給水区域」ですが、水道法では「拡張」の手続きは記載されているものの、「縮小」や「変更」の手続きについては言及がないことから、

これまで給水区域の縮小を行った水道事業体は原則として存在しませんでした(試験的に実施した2つの水道事業体は存在します)。

過去に給水してはいたが、昨今の人口減少を受けて、地域の状況を適切に反映し、給水区域を縮小することができれば、

それは更新対象となる水道管を本当に必要なものに限定することができます。

実際、この「給水区域」の縮小に対する議論は10年ほど前から行われてきていて、先ほど上記で試験的にと書いた、愛知県の豊田市、岡崎市の2市は試験的に給水区域の縮小を行った自治体です。

そのような事例もあり、ようやく今年の2025年4月に国土交通省から、給水区域の縮小(変更)に関する考え方が共有されるに至りました。

とはいえ、まだ発表された考え方に基づく、実際の給水区域の縮小事例は公表されておらず、資料自体もややわかりにくい部分もあるため、

今後、より詳細な説明を付したガイドライン、手引きのような資料が作成・案内されることで、人口減少状況に即した適切な給水区域の設定が行われ、

結果的に本当に必要な老朽化配管の更新対象を自治体で決めることができるようになることで、無駄な更新費用を省くことが可能になると思います。

今後もこの問題については、注視していきつつ、わかりやすく皆様に説明出来たらと思います。

これからも水道に関する課題や、よりよい水道に向け、さまざまなニュースを皆様にお届けしていきます。

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