災害後の断水中、「赤ちゃんの水」をいかに確保するか

「自分は平気でも、赤ちゃんの水だけは切らせない──備蓄が尽きた“その先”を知っていますか?」

大規模災害が発生したとき、大人であれば一時的に水を我慢することはできても、赤ちゃんにとって「水」は命に直結するものです。ミルクの調乳、毎日1回の入浴、そして手洗いや食器の消毒──。これらすべてに、安全な水が不可欠です。

東京都は災害用の飲料水として「1人1日3Lを3日分」を推奨していますが、それはあくまで「大人」が飲み水として最低限必要な水。あなたの家庭の備蓄水が尽きたとき、そして給水所へのアクセスが困難になったとき、大切な赤ちゃんの水をどう守るか、その“その先”を知っていますか?

本記事では、災害時に赤ちゃんの水を守るための具体的な知識と準備について解説します。

1. 赤ちゃんに必要な水量を把握する

災害時の赤ちゃんの水は、飲み水だけでなく、衛生管理のための清拭用水や哺乳瓶の洗浄用水も考慮する必要があります。月齢によって必要な水量は異なりますが、ミルク調乳と清拭用を合わせた1日の目安の水量は以下の通りです。

月齢1日あたりのミルク量体ふき・おしり洗浄用1日の必要水量
新生児~6ヶ月600mL~1,200mL約500mL1.1–1.5L
7ヶ月~1歳500–700 mL(離乳食補完)約500mL1.0–1.2 L

これはあくまで目安であり、体調や気候によって変動します。
また、日ごろのミルク量に合わせて調整ください。

ミルクを飲む赤ちゃんは、水分補給の全てを水に頼るため、大人以上に備蓄が必要です。

2. フェーズごとの水の確保:備蓄ペットボトル →給水ステーション

災害発生後の水の確保は、時間経過とともにその方法が変化します。

フェーズA:備蓄ペットボトル(災害発生直後~7日程度)

災害発生直後から3日~7日程度は、まず家庭で備蓄しているペットボトルの水を活用することになります。

東京都が推奨する「3L×3日分」は大人用の飲料水ですが、赤ちゃんがいる家庭では、備蓄水を多めに確保しておくことをお勧めします

フェーズB:給水ステーション(災害発生3日~1週間程度)

備蓄水が底をつき始める3日目以降は、自治体が設置する災害時給水ステーションからの給水が主な水源となります。災害時給水ステーションは災害発生から24~72時間以内には開設されることが想定されていますが、開設場所や時間、給水制限などは、自治体のHPを確認ください(例:「災害時給水ステーション 場所」などで検索)。

地区によっては、赤ちゃんの水は優先的に供給されるケースがあるかもしれません。

東京都の場合、給水ステーションでの給水量の制限はありませんが、水も重たいため女性なら1回4,5Lが限界かもしれません。自宅から給水ステーションまでの距離や、容器の種類なども重要となります。

3. フェーズC:自分で水を確保する手順と“殺菌”の重要性

給水ステーションからの水だけでは足りなくなった場合や、アクセスが困難な場合は、自力で生活用水を確保し、それを安全な水に変える必要があります。

身近な水源としては、まずは風呂の残り湯が考えられます。しかし、風呂の残り水はそのままでは飲用や赤ちゃんの清拭には使えません。衛生的な水に変えるため「殺菌」を行う必要があります。

必要になるのは、ハイター(ブリーチ)とスポイト。

バケツに汲んだ水5Lに対して、ハイター(ブリート)を1滴の割合で垂らしてよくかき混ぜてください。5分ほど待つと使えます。塩素臭が気になる方は、煮沸したり透明のペットボトルに移し替えて、太陽光によくあてる方法でも塩素臭が消えます。

4. ハイターってこれ!災害時の水の守り神

殺菌など災害時に特に役立つのが、家庭にある身近な「ハイター」(家庭用塩素系漂白剤)です。これは、水の殺菌に非常に有効なツールとなります。

  • ハイター(塩素系漂白剤):画像の洗濯用のもっともシンプルな製品が不要なものが入っていないので、ベストです。でもなければ、キッチンハイターでも代用可能です。
  • どのくらいの水を消毒できる?:900mlボトルであれば、計算上、約90,000Lの水を適正に消毒できます。これは、毎日1人20Lの水を消毒する場合、約4500日分(約12年分)に相当します。つまり、大人数のご家庭でも、900mlのハイター1本あれば、災害対策としては十分に機能します。
  • 費用:900mlのハイターは、200円程度と非常に安価です。
  • 使用量:水5Lに対し、ハイターを1滴だけ加えるのが目安です。正確な量を測るために、スポイト(病院から薬用にもらったものでOK)を準備しておくと便利です。

ハイターは、手軽に入手でき、長期保存も可能で、少量で大量の水を殺菌できるため、災害時の水の守り神と言えるでしょう。

お風呂の水以外の水の確保方法については、有料記事(300円:2025年6月30日まで150円)となりますが、以下にまとめていますので、もしよかったらこちらもご覧ください。携帯用浄水器の効果的な使用方法なども紹介しています。

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まとめ:大切な命を守るために、今できる準備を

災害時、「赤ちゃんの水」は、大人以上に切実な問題となります。

断水が長期化すると、ペットボトル備蓄だけでは不十分であり、給水ステーションも万全とは限りません。だからこそ、身近な水源から水を確保し、安全に処理する知識と準備が不可欠です。

今一度、ご家庭の防災備蓄を見直し、赤ちゃんの命を守るための「水の備え」を万全にしてください。この知識が、いざという時のあなたの冷静な判断と行動に繋がることを願っています。

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