連載プロローグ:水道100年、次の100年へ — なぜ今「水道の未来」を語るのか?

私たちが蛇口をひねれば、いつでも安全な水が出てくる──。

この「当たり前」は、日本の先人たちが築き上げてきた壮大な水道インフラと、それを守り続けてきた多くの人々の努力の上に成り立っています。日本の近代水道が始まっておよそ100年。その歴史は、まさに「水と命」を守るための英知の結晶だといえるでしょう。

しかし、この「当たり前」は、今、大きな岐路に立たされています。

あなたは、こんな疑問を抱いたことはありませんか?

  • 「なぜ、水道料金は上がっていくのだろう?」
  • 「この安全な水は、これからもずっと続くのだろうか?」
  • 「災害が起きたら、水は本当に大丈夫なのだろうか?」

残念ながら、私たちは「水道」について語る機会があまりにも少ないのが現状です。普段、意識することがほとんどない「足元のインフラ」だからこそ、その変化や課題に気づきにくいのかもしれません。


目次

■ 当たり前が揺らぐ時代:今、水道の未来を語る理由

かつて「安全な水はタダ同然」と言われた時代もありました。

しかし、人口減少、施設の老朽化、そして頻発する自然災害──。日本の水道は、今、かつてないほど複雑で多岐にわたる課題に直面しています。

私たちは、もはや「知らなくて済む時代」から、「知らなければならない時代」へと突入しています。

本連載「水道100年、次の100年へ」では、この日本の水道が抱える喫緊の課題に、真正面から向き合っていきます。

■ 12回の連載で辿る「水道の未来」

この連載では、多角的な視点から日本の水道の「今」と「未来」を深掘りしていきます。


12連載の概要(内容は予告なく変更する場合があります)

タイトル(予定)キーワード
#1水道100年の達成と“終わりの始まり”普及率98%/給水量ピークアウト
#2老朽管ショック:140万km更新の真実財政ギャップ/管路縮小
#3郊外切り離し論と住民当番制コミュニティ運営/低コスト化
#4急速・緩速・地下水+砂利ろ過を徹底比較CAPEX/OPEX/土地コスト
#5世界の“マイクロ・ウォーター”図鑑ケニア/バスク/米コロラド
#6分散型&簡易水道:UF/RO/砂利ろ過の設計小型装置の衛生課題
#7レジリエンスと自動運転タンクローリー給水BCP/AI配車
#8水質安全を再設計:濁度0.2NTUの壁クリプト対策/PFAS
#9料金再設計:二部料金とバウチャー公平負担/脆弱層支援
#10デジタル維持管理と漏水AIスマート当番制
#11水道×エネルギー:省エネと創エネマイクロ水力/太陽光RO
#122035ビジョン:地域が回す“賢いインフラ”縮退・分散・資本循環
(+α)宅内DIYメンテ/世界の再公営化optional

この連載は、決して専門家だけのものではありません。蛇口をひねる全ての人々、つまり私たち自身の未来に関わる内容だと考えています。

■ 「他人事」から「自分事」へ:未来を共につくるために

水道は「縁の下の力持ち」として、私たちの日常を静かに支え続けています。しかし、その安定が脅かされ始めた今、私たちはこの大切なインフラを「他人事」として見過ごすわけにはいきません。

この連載を通して、皆様が水道の現状を知り、未来を考えるきっかけとなることを願っています。そして、時には厳しい現実にも目を向けながら、「次の100年」へと続く、持続可能な水道の未来をともに考える第一歩を踏み出せれば幸いです。

ぜひ、次回の本編からご期待ください。


▶︎ 次回予告

#1 水道100年の達成と“新たな水道サービスの始まり”
「水道普及率98%」の裏でひそかに進む“様々なほころび”。データで読み解きます。

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