「災害時、いざという時に、その場で飲める水があったら…」そう願う人は多いでしょう。近年、Amazonなどで「3,000~5,000円前後の緊急浄水器」が手軽に手に入るようになりました。その中には、「そのまま川の水を飲める!」と謳う製品もありますが、本当にそうなのでしょうか?
本記事では、携帯型浄水器の仕組みや正しい使い方、そして衛生的な利用のための注意点までを詳しく解説します。災害時だけでなく、アウトドアなどでも活用できる膜浄水器の知識を身につけ、あなたの「水の備え」を万全にしましょう。

導入:泥水が透明に?驚きの浄水力
携帯型浄水器の多くは、0.01μm(=10nm)クラスの中空糸膜を利用した製品で、これはUF膜に相当します。UF膜は、ウイルスやコロイド、高分子有機物レベルの不純物を除去できるのが特徴の優れた製品です。
1. なぜ一次処理が必要か?
「そのまま川の水を飲める」というフレーズは魅力的ですが、災害時に手に入る川や池などの水源は、多少は濁っていることが多いです。このような水を直接浄水器に通すと、細い孔は泥で目詰まりし、浄水量が激減してしまいます。
メーカー公称値の5,000Lや8,000Lの浄水量を最大限に引き出すためには、膜浄水器に通す前に、できる限り水をきれいにする「一次処理」が非常に重要になります。このひと手間が、浄水器の寿命を延ばし、いざという時に安定して使えるかどうかの分かれ道となります。
2. “3ステップ”寿命延長プロセス
携帯型浄水器の寿命を最大限に延ばし、衛生的に利用するためには、以下の3ステップを実践しましょう。
- 沈殿:採水した水を20Lバケツなどの容器に入れ、静置して泥や大きなゴミを沈殿させます。最低でも3時間、できれば一晩静置することで、かなりの濁りを取り除くことができます。
- ろ過:沈殿させた上澄み水を、タオルや布などを使ってろ過します。この段階で、目に見える細かい浮遊物を取り除きます。
- 膜ろ過:最後に、膜浄水器を通して飲用水を確保します。
このプロセスを経ることで、浄水器への負荷を軽減し、目詰まりを防ぎ、長く衛生的に利用することができます。タオルとバケツを使った浄水でも、浄水器の寿命が5~10倍は違うでしょう。
3.バケツ&タオルで一次処理のイメージ
4. 小型膜浄水器を衛生的に保つ5ルール
せっかく浄水器があっても、衛生的に使えなければ意味がありません。以下の5つのルールを守りましょう。
- 1週間以上未使用ならフィルター交換:一度開封・使用したフィルターは、1週間以上使わない期間がある場合、衛生上の観点から交換することを推奨します。
- カビ臭・腹痛:万が一、浄水器からカビ臭がしたり、浄水後の水を飲んで腹痛を感じた場合は、直ちに使用を中止し、フィルターを交換しましょう。
5. おすすめ2製品+α
- A. Greeshow 携帯浄水器:軽量でコンパクト、高い浄水能力が特徴です。アタッチメントが豊富で、ペットボトルに到着し圧力をかけて浄水できます。約3,000円【Amazon】
- B. SAKUTTO 携帯浄水器:中空糸膜の小型浄水装置。TV番組で紹介され人気の浄水器です。約5,000円【Amazon】
- C. Greeshow 電動浄水器:同じ高品質ながら、電動対応で使い勝手が良い浄水器です。約15,000円【Amazon】
6. よくある疑問Q&A(3問)
Q1: 泥水はそのまま浄水できますか? A1: はい、浄水はできます。ただし、浄水器の目詰まりを早め、寿命を大幅に縮めます。必ず一次処理を行ってから使用することをおすすめします。
Q2: 塩分は除去できますか? A2: 携帯型浄水器(UF膜)では、塩分は除去できません。塩害の影響がある海水などは飲用できません。
Q3: 5,000Lも浄水可能ですか? A3: メーカーの仕様では5,000Lや8,000Lと書かれてありますが、原水の水質により、浄化可能水量は変動します。原水を一次処理でできるだけきれいにした方が長持ちします。
まとめ
携帯型浄水器は、災害時における水の確保に非常に有効なツールです。適切な一次処理と衛生管理を行うことで、その性能を最大限に引き出し、安全な水を安定して確保できるでしょう。