想定外の断水が長期化したら——
給水ステーションが空になる、給水車が来ない。そんな「最悪のケース」にも、身の回りには使える水が少しずつ存在します。
本稿では
1.身近で確保できる意外な 6 つの水源
2.生活用水に変える 3 つの浄化ステップ
を表形式で整理しました。準備品・手順・注意点をまとめておき、いざという時に“迷わず行動”できるようにしておきましょう。

目次
まず押さえる 3 つの大原則
- できるかぎり“きれいな水”を集める
汚れが少ないほど処理はラクで安全。 - 塩素(家庭用漂白剤)は必須!ただし入れ過ぎないように
10 L ~15 Lバケツに 2 滴 で充分。入れ過ぎは塩素臭と肌荒れの原因。 - 基本は生活用水(入浴・洗濯)として使う
飲料は極力ペットボトルや配給水で確保し、どうしても入手できない場合の“最終手段”
家庭に備えておく“水処理キット”
区分 | 必須 | さらにあれば便利 |
---|---|---|
薬剤 | 塩素系漂白剤 | 凝集剤PAC(池・川水の沈殿促進) Amazonでも大容量しかない。希望多ければ、販売用小分品準備します |
水容器 | バケツ・10L折りたたみタンク | ろうと(100均のものでOK) 雨どい用雨水取水器 |
簡易ろ過 | ざる+タオル/ガーゼ/ハンカチ | ブリタ型浄水器 |
高級オプション | — | 災害用小型膜ろ過器 |
塩素系漂白剤は、洗濯用のシンプルなもの一択!
EXとか、Proとかは、消毒以外の成分が入っているので消毒用には適しません。
どうしてもなければ、キッチンハイターは許容範囲です
カンタンな水の処理方法
基本的な水処理方法です。これらを組み合わせて、水源ごとの水の浄化を行います
操作 | 目的 | 手順 |
---|---|---|
① 塩素消毒 | 殺菌除菌 溶解鉄の析出 | 10 L ~15 Lに漂白剤 2 滴 (小さじの場合、1/5以下) |
② 煮沸 3 分 | 殺菌除菌 塩素除去 | コンロで沸騰 3 分 |
③ 静置 | 濁り成分の沈殿分離 | 汲んできた水をバケツにうつして、数時間以上静置し、上澄水を採水 |
④ タオル/ハンカチ濾過 | 濁り成分のろ過分離 | ざる+タオルで こす |
身近な水源 6 種と水処理ガイド
凡例 ★★★:消毒のみで飲用可能、★★☆:入浴に使用可、★☆☆:洗濯に使用可
No. | 水源 | 取得コツ | 安全性 | 水質と留意点 | 水処理方法 | 利用ケース |
---|---|---|---|---|---|---|
① | 雨水 | 初期雨水 (降り始めの雨水) を5分捨てて から貯める | ★★★ | 初期雨水をカット し消毒すれば 飲料も可 | ・塩素消毒 | ・飲料・調理用 ・洗面・手洗い ・入浴 ・洗濯 |
② | エアコン 除湿機水 | ドレンホース 末端にバケツ 設置 | ★★★ | ドレンホースの 端部、除湿機タンク を清潔に | ・塩素消毒 | ・飲料・調理用 ・洗面・手洗い ・入浴 ・洗濯 |
③ | 井戸 | 手押しポンプ | ★★☆ | 水質は地表からの 浸透物質に左右 | ・塩素消毒 消毒後、濁ったら ・静置/タオルろ過 | ・洗面・手洗い ・入浴 ・洗濯 |
④ | 防火水槽 | 管理者の指示に 従いましょう | ★★☆ | 水槽の状態により 水質変化している | ・塩素消毒 消毒後、濁ったら ・静置/タオルろ過 | ・洗面・手洗い ・入浴 ・洗濯 |
⑤ | 川・池 | 比較的透明な 水なら採水 | ★☆☆ | 場所により水質 は異なる | 透明な水 ・塩素消毒/煮沸 濁り水 ・静置/タオルろ過 ・塩素消毒 | ・手洗い ・入浴 ・洗濯 |
⑥ | プール | 夏季は◎/ 冬~春季と 水質悪化する 優先度低い | ★☆☆ | 時期により水質 は異なる | 透明な水 ・塩素消毒/煮沸 濁り水 ・静置/タオルろ過 ・塩素消毒 | ・手洗い ・入浴 ・洗濯 |

水処理の考え方
No. | 物質 | 可能性水源 | 危険度 | 水処理方法 |
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① | 大腸菌などの細菌 | 全般 | ★★★ | ・塩素消毒 ・煮沸消毒 |
② | 濁り成分 | 川、池 | ★☆☆ | ・静置→上澄水取水 ・ざる+タオルろ過 ・簡易浄水器ろ過 |
③ | 鉄分 | 地下水、防火水槽 | ★☆☆ | ・塩素で酸化→ろ過 |
④ | 化学成分 | 都市河川 | ★★★ | ・浄水器ろ過 |
⑤ | 有機物 | 川、池、防災井戸(浅井戸) | ★★☆ | 家庭での浄化は不可 ただし、洗濯程度ならOK |
⑥ | 窒素、窒素酸化物 | 川、池、防災井戸(浅井戸) | ★★☆ | 家庭での浄化は不可 ただし、洗濯程度ならOK |
水処理 Q&A
まとめ
今回はご家庭にあるもので、生活用水に適した水質に処理する方法をご紹介しました。最低限必要な材料や道具もありますので、もしない場合、災害が起こる前に用意するようにしておくとよいでしょう。
この記事がどうしても水に困った場合の皆様のお役に立てると幸いです。