水道は飲んでも安全!?日本の水道の品質とは

「日本の水道水はそのまま飲める」と言われていますが、最近では「水道水は危ない」「浄水器を使うべき」「ミネラルウォーターの方が安心」など、不安をあおる声も見られます。

しかし、本当にそうでしょうか? 実は、日本の水道水は世界でもトップクラスの品質と安全性を誇っており、私たちはごく自然に、世界的に見てもかなり贅沢な水を口にしているのです。

この記事では、そんな日本の水道の“真の実力”について、できるだけ専門用語を避けながら、一般の方にもわかりやすく解説します。


1. 世界で水道水が飲める国はたったの11カ国

まず、前提としてお伝えしたいのが、水道水をそのまま飲める国は、世界中でたったの11カ国しかないという事実です。多くの国では、水道水に含まれる細菌やウイルス、汚染物質の影響で、そのまま飲むとお腹を壊してしまうリスクがあります。

その中で、日本の水道水は、世界的に見ても非常に安全であり、安心してそのまま飲むことができる数少ない国のひとつです。


2. 世界基準を超える日本の水質基準

世界保健機関(WHO)は、「飲料水水質ガイドライン」として、飲み水に関する基準を示しています。日本の水道水はこのWHOのガイドラインと比較しても、より厳しい基準が設定されています

実際、日本では水道水に対して51項目の水質基準が定められており、各浄水場ではこの基準に基づいて、定期的な検査と厳しい管理が行われています。

つまり、日本の水道水は「なんとなく安全」なのではなく、「明確な数値基準によって常にチェックされている」からこそ、安心できるのです。


3. 世界との比較で見えてきた日本の水のレベル

2024年11月には、水道水の国際比較を行った研究委員会が、世界各国の浄水場と日本の浄水場を比較したレポートを発行しました。

このレポートでは、塩素濃度、大腸菌、有機物、微量金属などの主要な水質項目について、データベース化された比較結果がまとめられています。

筆者が確認したところ、特に総評や格付けがついているわけではないものの、日本の水質は全体的に見ても世界の主要国と比べて非常に高品質であることがわかります。


4. 都市部の水道はより進化している

過去には、「東京の水は臭い」「大阪の水はまずい」といった印象がありました。その原因は、ダムや湖などの水源に発生する藻類による異臭成分でした。

しかし近年、これらの都市では浄水処理方法が大幅に改善され、オゾン処理や活性炭ろ過などの高度浄水処理技術が導入されました。その結果、東京や大阪の水道水は、今や「おいしい水」としても評価されるほど品質が向上しています。

東京都水道局が行っている「東京水」の取り組みや、大阪市の「高度浄水処理水」なども、その象徴です。


5. PFASなどの新たなリスクにも対応中

最近話題になっているのが、「PFOS」や「PFOA」などの**有機フッ素化合物(PFAS)**です。これらは一部の工場や米軍基地の周辺などで水質汚染が報告されており、人体への影響が懸念されています。

これらの物質は現在、法律で定められた水質基準には含まれていませんが、2020年に厚生労働省が「水質管理目標設定項目」として位置づけ、50ナノグラム/リットル以下という暫定目標値を設けました(現在は環境省が所管)。

東京都やその他の自治体でも、モニタリング調査が継続的に行われており、市民の不安に応えるための取り組みが進んでいます。


6. 浄水器やミネラルウォーターは必要?

もちろん、「水道水は安全だ」といっても、不安を感じる方がいるのも理解できます。浄水器を使う、ミネラルウォーターを選ぶ、といった選択も大切なライフスタイルの一つです。

ただし、経済的にそれらを選べないという方も、水道水はそのまま飲んでも十分に安全だということを、ぜひ知っていただきたいと思います。

日々の生活で当たり前に使っている水道水が、実は世界的に見てもとても優れた水であるという事実は、もっと広く知られてよいと感じます。


7. 家庭内配管が原因となるケースもあるが…

ごく一部では、水道水に異常があるとすれば、水道局ではなく自宅内の配管が原因となるケースもあります。特に古い住宅で鉄製の管(鋼管)が使われている場合、鉄分が水に溶け出すことがあるからです。

この鉄分は見た目や味に影響を与えることはあっても、健康被害はありません。ただし、鉄管は長期的には腐食しやすく、将来的な漏水のリスクがあるため、場合によっては配管の交換を検討してもよいでしょう。

現在では、架橋ポリエチレン管や耐腐食性に優れた素材が主流となっており、こうした新しい配管ではこうした問題は起こりにくくなっています。


まとめ:日本の水道は、世界に誇れる「安全でおいしい水」

日本の水道水は、世界でも数少ない「そのまま飲める水道水」であり、安全性・品質ともにトップレベルです。

もちろん、すべての地域や施設が完璧なわけではありませんが、厳しい水質基準や高度浄水処理、継続的なモニタリング体制によって、その信頼性は高く維持されています。

浄水器を使うか、ミネラルウォーターを買うかは、それぞれの選択です。

ただし、「水道水だから不安」「そのまま飲むのは危険」という印象だけで判断せず、日本の水道の実力を正しく知った上で、自分に合った選択をしていただけたらと思います。

何よりも、水を安心して使えることが、どれだけありがたいことか──その事実を、日々の生活の中で少しだけ意識してみませんか?

よかったらシェアください!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次