株式会社水未来研究所

100億人に届け命の水|小規模水道・実務ノウハウ通信 #18

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<目次>
【1. 今週の実務ノウハウ】
【2. 専門知の共有:中本名誉教授の視点】
【3. 災害下の水について】
【4. Q&A 現場の悩み相談】
【5. 編集後記】
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【1. 今週の実務ノウハウ】

水道管にはどんな種類がある?管材の特徴と接合方法をわかりやすく解説

普段何気なく使っている水道ですが、地中や施設内にはさまざまな種類の水道管が使われています。

水道管というと、すべて同じものを使っているように感じるかもしれません。しかし実際には、水を運ぶ場所や必要な強度、施工条件、維持管理のしやすさなどによって、適した管材が選ばれています。

特に地方の水道や小規模な水道施設では、地域の条件に合わせて複数の管種が使われています。

この記事では、水道で使われる代表的な管の種類と、それぞれの特徴、接合方法について初心者向けに紹介します。

水道管は大きく「金属管」と「樹脂管」に分けられます

水道管の種類は多くありますが、大きく分けると、

の2種類があります。

以前は金属管が中心でしたが、現在では施工性や耐食性、耐震性の向上から、樹脂管も多く使われています。

金属系の水道管

SUS304TP(ステンレス鋼管)

ステンレス鋼管は、耐食性に優れた管です。

錆びに強く、長期間使用できることが特徴で、水道施設内の配管やポンプ周辺、腐食が問題になりやすい場所などで使用されます。

一方で、材料費や施工費は比較的高くなるため、すべての水道管をステンレスにするというより、必要な場所に使われることが多い管です。

SGP-VP(ビニルライニング鋼管)

SGP-VPは、鋼管の内側に硬質塩化ビニルを内張りした管です。

鋼管の強度を持ちながら、内部の腐食を防ぐことができます。

以前から水道設備や建物内の給水配管などで多く使われてきました。

ただし、現在では用途によっては樹脂管へ置き換えられるケースも増えています。

ポリエチレン粉体ライニング鋼管

鋼管の内部をポリエチレンで覆った管です。

腐食しにくく、赤水対策にもなるため、給水設備などで使用されてきました。

SGPW(白管)

亜鉛めっきを施した鋼管です。

昔は水道配管として多く使用されていましたが、腐食や赤水の問題から、現在の新設工事では使用される機会は少なくなっています。

ダクタイル鋳鉄管(DIP)

ダクタイル鋳鉄管は、水道本管で現在も重要な管種です。

強度が高く、道路の下に埋設される配水管や送水管などで使用されています。

また、耐震性を考慮した継手も開発されており、地震時にも管が抜けにくい構造のものがあります。

地方水道でも、ある程度の口径以上の管路では代表的な選択肢になります。

樹脂系の水道管

VP管(硬質塩化ビニル管)

VP管は、昔から広く使われている樹脂管です。

軽量で施工しやすく、腐食しないことが特徴です。

小規模な配管や施設内配管などで使用されています。

HI-VP管(耐衝撃性硬質塩化ビニル管)

HI-VPは、通常のVPより衝撃に強く改良された塩化ビニル管です。

地中配管や給水管などでも使用され、小規模水道では現在でもよく見られる管種です。

水道用ポリエチレン二層管

ポリエチレン管は、柔軟性が高く、腐食しないことが大きな特徴です。

特に給水引込管や宅地内の給水管などで広く使われています。

地盤の動きに追従しやすいため、耐震性にも優れています。

水道配水用ポリエチレン管

近年では、道路内の配水管として水道配水用ポリエチレン管も普及しています。

高密度ポリエチレンを使用し、電気融着による接合を行うことで、管と継手を一体化できます。

軽量で施工しやすく、耐震性にも優れるため、小規模水道や更新工事で採用される例が増えています。

水道管はどうやってつないでいる?

水道管は、種類によって接合方法も異なります。

金属管の場合

ステンレス鋼管やライニング鋼管では、

などが使われます。

施設内配管では、点検や交換のしやすさを考えてフランジ接合が使われることもあります。

塩化ビニル管の場合

VPやHI-VPでは、専用の接着剤を使った接着接合が一般的です。

施工が比較的簡単で、軽量なため扱いやすいことが特徴です。

ただし、接着剤の塗布や差し込み量など、施工品質が重要になります。

ポリエチレン管の場合

ポリエチレン管では、

などが使われます。

特に水道配水用ポリエチレン管では、電気融着によって管と継手を一体化する方法が一般的です。

水道管は場所によって選ばれています

水道管には、それぞれ特徴があります。

「この管が一番優れている」というものではなく、水を運ぶ場所や口径、地盤条件、施工性、維持管理のしやすさなどを考えて選ばれています。

例えば、

といった使い分けがあります。

地域の水道更新工事の資料を見るとき、「DIP」「HI-VP」「PE管」などの名称が出てくることがありますが、それぞれに長所や使われる理由があります。

水道管の種類を知ることで、自分たちの地域の水道設備がどのように作られているのか、少し身近に感じられるようになります。


【2. 専門知の共有:中本名誉教授の視点】

水道公論 2023年2月号(第59巻第2号)pp.60-71, 信州大学名誉教授 中本信忠
「生物屋の緩速ろ過池研究 その17:国際研修で生物浄化の仕組みを教える」

機械も薬品もいらない生物浄化法に世界が注目

(1)山のない島、研修の舞台
宮古島は隆起サンゴ礁からなる島で、川がなく、雨水と地下水に生活用水を頼ってきました。沖縄は暖かい黒潮の影響を受ける亜熱帯の気候で、本州とは水環境が大きく異なります。この島や石垣島を舞台に、信州大学名誉教授の中本信忠氏らは、国際協力機構(JICA)の研修事業として、世界各国、とりわけ大洋州の島嶼国から研修生を招き、緩速ろ過(生物浄化法)の仕組みを伝える活動を続けてきました。2010年度には大洋州から多数の研修生が参加しており、研修では上向流粗ろ過の模型を使い、薬品を使わない濁り対策の仕組みを一つ一つ丁寧に教えています。日本の指針をそのまま説明するのではなく、世界のどの地域でも通じる知見として伝えることが、この研修の狙いです。

(2)石垣浄水場での実体験
研修の舞台の一つが石垣島です。石垣浄水場は動力を使わず自然流下だけで稼働する大規模な施設で、ろ過池には魚が泳ぐほど水質が保たれています。地元では、寄港する大型クルーズ船がこの浄水場の水道水を補給するほど、品質への信頼が厚いといいます。研修生はここで、ろ過池表面に浮かぶ藻を削り取る作業を実際に体験しました。削り取った砂層をのぞくと、汚れは見当たりません。一方、隅にたまった砂は真っ黒に変色し、卵が腐ったような臭いを放っていました。酸素が不足すると生物群集による浄化が働かなくなることを、研修生は自分の目と鼻で確かめることになりました。石垣市水道部の会議室では座学の講義も行われ、大洋州からの研修生は自国と気候や環境が似ているため、安心して学ぶことができたといいます。生物浄化法で得られる水は、水質基準よりも数桁きれいな水になるとされ、削り取り直後の砂で濾したばかりの水は、まさにスーパークリーンと呼べるおいしさでした。

(3)生物群集の働きを支える細やかな管理
緩速ろ過の浄化力を支えるのは、砂層表面に棲みつく微小生物の群集です。ろ過水に含まれる溶存酸素の濃度は一日の中で大きく変化しており、この変化の幅こそが、生物群集が元気に活動している証だといいます。越流する水がもったいないからと安易に配管に蓋をしてしまうと、生物群集の環境を乱しかねません。英国のテムズ水道でも、生物群集にやさしい運用を目指した実験が重ねられており、機械や薬品に頼らず生きものの力を生かすには、こうした細やかな配慮が欠かせないことがうかがえます。

(4)世界が見直す生物浄化法
かつて世界では、化学薬品を使う急速ろ過が主流とされてきました。しかし、クリプトスポリジウムによる集団下痢事故をきっかけに、各国で緩速ろ過が改めて見直されています。宮古島や石垣島での研修を終えた大洋州の研修生たちは、機械も薬品も使わずに自国でも維持管理できる浄化法だと納得し、最後は感謝のスピーチとともに皆で踊り、研修を締めくくりました。この取り組みは外務省のODA白書(2014年、2015年版)でも紹介され、日本発の国際協力の成果として高く評価されています。


【3. 災害下の水について】

災害時の水確保は「運ぶ方法」も考えておく

災害時の水の確保については、これまでも何度か取り上げてきました。

今回は少し視点を変えて、「確保した水をどのように運ぶか」という点について考えてみます。

大規模な災害が発生すると、水道が停止する可能性があります。その際、飲料水については備蓄しておくことが基本ですが、トイレや掃除、洗濯などに使う生活用水まで十分に備えることは簡単ではありません。

そのため、災害後の生活を考えると、水を入手する場所だけでなく、水を運ぶ手段についても普段から考えておくことが大切です。

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都市部と地方では水の運搬方法が変わる

例えば東京などの都市部では、大規模地震の直後には道路の混雑や安全確保のため、車両の利用が制限される可能性があります。

そのため、徒歩で水を運ぶことを想定した準備が重要になります。

一方、地方では被害状況にもよりますが、車を利用して移動できる場合があります。

その場合、水道復旧までの間、片付けや復旧作業を行いながら生活用水を確保する必要があります。

車が使える地域では、「どこから水を確保するか」だけでなく、「車でどのように運ぶか」を考えておくことが重要になります。

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災害時に利用できる水源を普段から確認しておく

災害時に備えて、普段から地域内の水源を把握しておくと安心です。

例えば、

などです。

ただし、これらの水は災害直後には水質が変化している可能性があります。

そのため、飲料用ではなく、まずは掃除や洗浄、トイレなどの生活用水として利用することを想定しておくとよいでしょう。

また、地域によっては災害時に利用できる井戸や防災用の給水施設が整備されている場合もあります。普段から自治体の情報を確認しておくことも大切です。

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水を運ぶための容器を準備する

水源を確保できても、水を運ぶ容器がなければ利用できません。

バケツのような開放型の容器は、一時的に水をくむ用途には便利ですが、車で運搬すると揺れによって水がこぼれてしまいます。

災害時の運搬用としては、

などが適しています。

特にソフトタイプの水タンクは、使用しないときには小さく収納できるため、防災用品として保管しやすいというメリットがあります。

ただし、20Lの水は重量にすると約20kgになります。

満杯にすると持ち運びが大きな負担になるため、自分や家族が実際に扱える量を考えて準備することが大切です。

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ひしゃくやロープも役立つ道具になる

水を運ぶ容器だけでなく、水をくむための道具もあると便利です。

例えば、

などです。

川岸まで安全に近づけない場所や、水面が低い場所では、ロープ付きのバケツが役立つ場合があります。

災害時は普段と違い、水をくむ場所の状況も変化します。

「容器だけ準備する」のではなく、水を入れるところから運搬までを一連の流れとして考えておくことが重要です。

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都市部では背負って運べる水運搬方法も考える

以前、都市部での水運搬方法として、20L程度の背負える水バッグについて紹介しました。

しかし、一般的な水バッグは水を入れて背負うことを前提に設計されていないものも多く、重量や身体への負担を考えると改善の余地があります。

そこで、より現実的な方法として、登山用リュックとソフトタイプの水容器を組み合わせる方法があります。

例えば、

を用意します。

水容器に水を入れた後、それをリュックの中に固定することで、重量を身体全体で支えやすくなります。

10Lの水でも約10kgありますが、手で持ち続けるよりも、背負うことで移動時の負担を減らすことができます。

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水の確保は「量」だけでなく「運搬方法」も重要

災害時の水対策というと、ペットボトルや保存水の備蓄が注目されがちです。

もちろん飲料水の備蓄は重要ですが、災害後の生活では、それ以外の大量の水も必要になります。

そのため、

まで考えておくことが、実際の災害対応につながります。

普段から地域の水源や水を運ぶ道具について少し考えておくことで、いざという時の負担を大きく減らすことができます。


【4. Q&A 現場の悩み相談】

塩素注入装置の薬液(次亜塩素酸ナトリウムなど)の補充は、住民でも簡単にできますか?

はい、可能です。市販の塩素12%溶液を定期的に補充するだけの単純作業です 。制御盤側で「節約モード」を選択すれば、膜ろ過の稼働に連動して無駄な消費を抑えられます 。


【5. 編集後記】

7月に入り暑くなってきました。もう夏ですね。
台風のシーズンでもあります
線状降水帯と台風が連続で襲い危険なケースもあります。
皆様、お気をつけてお過ごしください。
私は、個人的にはもうすぐ技術士の試験があるのですが、ほとんど勉強が進んでおらず、焦ってきております。
なんとか合格するように残りの期間を頑張っていきます。