今週は先週ご紹介した、「全国水道主管課長会議」の中から給水区域変更について解説します。本の数枚に書かれた説明ですが、深い内容かつ、将来の老朽化配管対策にはかかせない内容となっています。ただ、分量がとても長くなってしまったため、今週と来週の2週に分けることにいたします。
【実務者専科】水道法第11条に基づく「給水区域縮小」の徹底解説1/2 ──国交省が示す3パターンまで
第1章:【背景】総延長「16.3万km」の現実解 ──給水区域適正化(縮小)
1-1:老朽化配管対策の究極のカード「ダウンサイジング」
日本の水道インフラは今、未曽有の危機に直面しています。令和3年度のデータによれば、法定耐用年数である40年を超えた水道管の総延長は全国で約16.3万kmに達しており、これらをすべて従来通りに更新していくには、莫大な財政資金と膨大なマンパワーが必要です。しかし、人口減少とそれに伴う料金収入の減少が確実視される中で、全ての配管をそのまま新品に交換し続けることは、事実上不可能です。
これまで私たちは、使用されていない配管や極めて需要の低い配管までを「更新対象配管」として登録してきました。しかし、事業体が抱える将来的な維持管理リスクを根本から消し去るためには、一歩踏み込んだドラスティックな対策が必要となります。それが、更新対象となるエリアの境界線そのものを引き直す「給水区域の縮小(適正化)」という選択です。給水区域を物理的・法的に縮小することは、将来にわたる給水義務そのものを適正な規模へとダウンサイジングするための、極めて有効な経営戦略となります。
1-2:先行自治体(豊田市・岡崎市)が切り拓いた前例
給水区域の縮小は、水道行政における最大のタブーの一つとされてきたように思います。しかし、広大な中山間地域を抱え、管路の延伸・維持コストが限界に達しつつあった愛知県豊田市や岡崎市などの先進的な自治体は、この課題にいち早く正面から向き合いました。
これらの自治体では、居住実態のない地域を対象に、給水区域の変更(縮小)に関する実務的な検証を進めてきました。地形的な制約、将来の人口予測、そして管路更新にかかる莫大な見積もり費用を天秤にかけ、どのようなプロセスを踏めば地域コミュニティの理解を得つつ、水道事業の持続可能性を担保できるのか。彼らが流した汗と積み上げた検証結果は、それまで「前例がない」という理由で動けずにいた全国の水道事業体に対し、大きな勇気と具体的な方向性と可能性を与えることとなりました。
1-3:国交省「全国水道主管課長会議」での歴史的方針転換
こうした自治体の先駆的な動きを受け、国の行政側も大きく舵を切りました。国土交通省が開催した「令和7年度 全国水道主管課長会議」において、給水区域の縮小に関する明確な方針が示されたのです。
それまで曖昧であった「給水区域の縮小」という行為に対し、国は法的な位置づけを公式に明示しました。すなわち、給水区域の変更(縮小)については、水道法上の「水道事業の全部又は一部の休止、又は廃止」として取り扱うという方針です。この方針は、令和8年度の同会議資料においても全く変更されることなく、そのまま記載され続けています。国がこの方針を維持しているということは、人口減少社会における水道の「戦略的撤退」を、国策として正式に容認・推奨している証拠に他なりません。本稿では、この国交省の方針を踏まえ、実務者が直面する法規の壁と、それを突破するための具体的な3つのパターン、さらには最も厄介とされる既存資産の移行に関わる財務・法務の論点を深く掘り下げて解説します。
第2章:【法解釈】水道法における「給水区域」の構造的障壁と第11条の突破口
2-1:なぜこれまで給水区域の縮小は進まなかったのか?
実務において給水区域の縮小を進める上で、まず理解しなければならないのが、水道法が内包する構造的な「拡張偏重」の建付けです。水道法を紐解くと、以下のような条文が並んでいます。
第7条第4項: 水道事業の認可申請時において、「事業計画書」の提出が必要であり、その中には「給水区域」を明確に提示することが義務付けられています。
第8条第4項: 他の水道事業の給水区域との重複を禁止しています。これにより、一度設定された給水区域は、その事業体が独占的に給水義務を負うエリアとして固定化されます。
第10条: 給水区域を「拡張」する場合の手続きが定められており、国交省大臣(または都道府県知事)の認可が必要である旨が明記されています。逆に言えば、その他の条項で給水区域の「縮小」についての記述はありません。
このように、水道法は基本設計として「人口が増え、区域が広がっていく時代」を想定して作られており、条文内には「拡張」の手続きや要件が詳細に書き込まれています。その一方で、給水区域を「縮小」することに関する直接的な文言や独立した条文は存在しません。この「縮小に関する説明の欠落」こそが、全国の自治体が「区域を縮小することは違法なのではないか」「国から認められないのではないか」と勘違いし、地域の人口動態や産業変化に合わせた、給水区域の適正化を躊躇する最大の原因となってきました。
2-2:水道法第11条(事業の休廃止許可)の適用スキーム
この構造的障壁に対し、国土交通省が示した画期的な突破口が、水道法第11条の活用です。第11条には次のように規定されています。
「水道事業者は、国土交通大臣の許可を受けなければ、水道事業の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。」
国交省はこの条文にある「水道事業の一部の廃止」という文言を適用し、「給水区域を縮小することは、そのエリアにおける水道事業を一部廃止することと同義である」という法解釈を公式に成立させました。これにより、自治体は「給水区域の縮小」という独自の認可申請に悩む必要はなく、第11条に基づく「事業の一部廃止許可申請」を行うという明確な法的手続きのルートを手に入れたのです。
行政手続きの実務としては、(1) 縮小を希望するエリアの図面、(2) 変更後の事業計画書、そして何よりも「一部廃止」を正当化するための (3) 合理的な理由(人口動態、財政予測、代替手段の有無など)を添付し、国交省(または委任された都道府県)から「許可」を受ける形を採ります。法的な建て付けが整理された今、事業体に求められているのは、国が用意したこの第11条のスキームを、自組織の財政状況に合わせていかに実務に落とし込むかという実践のフェーズです。
第3章:【徹底解剖】国交省が示す「変更の3パターン」のメリット・デメリット
その実務フェーズの突破口として、国土交通省が示した資料では、給水区域の縮小(一部廃止)を進めるにあたり、地域の状況に応じた3つの具体的なパターンを提示しています。それぞれの実務上のメリット、デメリット、精度超えるべき障壁について詳細に分析します。

3-1:パターン(1)「現状だれも住んでいない場所を対象外にする」
このパターンは、すでに住民が完全に退去した限界集落や、過去に開発予定地として給水区域に含めたものの、最終的に家屋が建たなかった山林・原野などを区域から除外するケースです。
メリット:
最大のメリットは、将来的な給水義務の消滅です。水道法上の給水区域内である限り、仮に現在は無人であっても、将来的に誰かが家を建てて「水を引いてくれ」と要求した場合、事業体は原則として拒否できません(給水義務)。このエリアを区域外とすることで、そのような突発的なインフラ投資義務をひとまずシャットアウトできます。当然、そのエリアへ向かう老朽化配管の更新も一切不要となります。
デメリット・リスク:
デメリットは、将来の拡張へのハードルの高さです。一度区域外にした場所で、数十年後に新たな観光開発や工場の進出、移住促進計画などが立ち上がった場合、再びその場所に給水するためには、改めて水道法第10条に基づく「給水区域の拡張」の認可手続きを一からやり直さなければなりません。
実務上の留意点:
手続きを円滑に進めるためには、「将来にわたってこの地域では水需要(新たな開発計画など)が見込まれないだろう」という見通しを、水道部局内だけでなく、都市計画部局や企画財政部局、さらには議会とも事前に協議し、行政総体として合理的な合意(エビデンス)を形成しておくことが制度上も求められます。

3-2:パターン(2)「現在住んでいる人がいるが、代替給水方法を用意(または既存のものがある)して区域外とする」
このパターンは、現在も住民が生活しているものの、非常に遠方であるために管路の維持コストが莫大であり、管路を廃止して個別井戸や集落単位の分散型給水システム(小規模水道等)へ移行した上で、区域から切り離すケースです。
メリット:
基幹水道としての長距離管路の維持・更新費用、および日々の漏水管理工数を完全に削減できます。事業体全体のライフサイクルコスト(LCC)を劇的に圧縮する、最も能動的で効果の高い戦略です。
最大の障壁(全員の同意):
このパターンを選択する際の、実務上最大の難所であり絶対条件が、「休止・廃止しようとする区域における給水契約の相手方全員(100%)から同意を得ること」です。一人でも反対者がいれば、第11条の一部廃止許可は原則として下りません。
住民への説明・提示条件(デメリットの克服):
全員の同意を勝ち取るためには、現在の給水対象者(契約者)に対し、以下の極めて重い3つの問いに答え、納得してもらう必要があります。
- 経済的負担の明示: 代替手段(個別井戸の掘削や、集落用浄水設備の導入)へと移行した際、長期的な水確保に必要な維持管理料金や、将来の設備更新費用の「負担区分(行政がどこまで補助し、住民がいくら払うのか)」の具体的提示。
- 水質の安全担保: 「飲用井戸等衛生対策要領」などに基づき、公設水道でなくなっても安全な水質が永続的に確保できること。定期的な水質試験の実施主体と費用負担の明確化。
- 非常時の対応策: 災害時や突発的な水質事故、渇水などによって代替水源が使えなくなった際、元事業者(自治体)が給水車を派遣するなどの「危機管理体制(バックアップ策)」の提示。
インフラの残置論争:
既存の配水管やポンプ施設といった設備を、事業体が責任を持ってすべて取り壊して原状復帰するのか、あるいはその一部(または全部)を新しい管理者(住民組合など)に引き渡して流用してもらうのかという、財産上の重い論点が発生します(詳細は次週、第4章・第5章で後述)。

3-3:パターン(3)「現在住んでいる人がいるが、他の事業体の給水区域に編入し、そちらから給水を受ける」
このパターンは、自事業体の浄水場からは遠いが、隣接する他の市町村(水道広域連合や近隣事業体)の管路からは目とは鼻の先にあるような集落において、自社の給水区域を縮小し、相手方に区域を拡張してもらう(または第三者委託を行う)ケースです。
メリット(地域全体の最適化):
自社の配管更新費用を削減できるだけでなく、地理的な制約から生じていた非効率な配管網(遠回りして水を送るなど)を解消できます。近隣事業体からストレートに給水を受ける方が効率的である場合、地域全体での水道コストダウンと安定給水に直結します。また、「第三者委託制度」などを活用することで、施設の共同管理を行いながら法的な責任の所在を明確に整理することも可能です。
デメリット・調整負担:
相手方の水道事業者との間で、極めて高度かつ緻密な行政間調整が必要となります。自社が「一部廃止」の手続きを行うと同時に、相手方には水道法第10条に基づく「給水区域拡張の認可または届出」を行ってもらう必要があり、両者で完全に足並みを揃えた行政手続き(協議書類の共同作成・議会承認等)が求められます。また、移管後の施設形態によっては、それが法律上の「専用水道」や「簡易専用水道」に該当する可能性があり、その場合は都道府県等による新たな指導確認や、水道法に基づく適正な管理体制の再構築が必要になるという技術法務上の留意点もあります。
協力の対価(コストの分配):
当然ながら、相手方事業体にとっては「他所の住民を抱え込み、維持管理リスクを引き受ける」ことになるため、ボランティアでは動いてくれません。区域を縮小する側の事業体が、将来的に削減できる配管更新費用の一部を原資として、相手方に対して資金的(負担金の支払い、施設整備費の肩代わりなど)もしくは人的リソースの提供という形で、相応の「協力の対価」を支払うスキームが前提となるでしょう。
~第4章、第5章についてはスペースの都合上来週といたします~
【2. 専門知の共有:中本名誉教授の視点】
水道公論 2022年7月号(第58巻第6号)pp.71-80, 信州大学名誉教授 中本信忠
「生物屋の緩速ろ過池研究 10 ルーツは生物経済学」
水道イノベーション:世界を魅了する「生物経済学」の思想
(1)「生態学」の本質は「生物の経済学」である
水処理の世界に、ひとつの革命的な思想があります。信州大学名誉教授・中本信忠先生が緩速ろ過池研究の連載第10回で明かしたのは、先生の学問的ルーツ--「生物経済学(Bio-Economics)」という視点です。
東京都立大学の宝月欣二先生は、こう教えました。「生態学(Ecology)とは、生物群集の経済学(Economy)を考えること、すなわち『生物経済学(Bio-Economics)』である」と。個々の生物を物質として捉え、太陽エネルギーを起点に光合成・食物連鎖・物質循環が織りなす「生態系」を、まるで経済の収支を読み解くように分析する--。この徹底して工学的・経済学的なアプローチが、中本先生の水処理研究の根底に流れています。「自然保護」や「生物観察」といった情緒的なイメージとは一線を画す、物質量とエネルギー収支で自然を捉える視座が、ここから始まるのです。
(2) 海洋調査船で実感した「地球の有限性」と検出限界の罠
思想の形成には、圧倒的な原体験がありました。1969年、海洋調査船「白鳳丸」に乗り込んだ先生は、100日間の太平洋航海でハワイ・タヒチ・サモアへ。さらに1971年には米国の海洋調査船「Discoverer」で国際共同観測に参加します。
広大な外洋では、プランクトンの密度は極めて希薄です。しかし、生物たちは確かにそこに存在し、「ハングリー状態(生物の待機活動)」--栄養をほとんど得られない中でじっと機会を待ち続ける--という自然の常態を先生は目の当たりにします。同時期、マウナロア観測所が示す大気中CO2の経年増加、そして『成長の限界』のシミュレーションとの出会いが、地球の「有限性」をリアルに突きつけました。
「検出限界以下に希釈して海に捨てれば問題ない」--当時の科学界に広がっていたこの傲慢な発想に、先生は根底から疑問を抱きます。放射性同位元素を用いた実験を自ら停止するという決断は、「検出限界以下でも生物は待ち続けている」という確信から生まれた、静かしかし深い思想的転換でした。
(3) 「食べる」という言葉に隠された未消化の真実
言葉のイメージに惑わされてはならない--。先生が1972年に発表した研究は、その警告を鮮烈に示します。
公園の池で金魚が緑藻を「食べる」様子を観察した先生は、驚くべき事実を発見しました。金魚の腸管の通過時間は短く、緑藻のセルロース壁はほとんど分解されないまま、光合成活性を保った状態で排泄されていたのです。「食べた=分解した」ではない。本当の分解は、糞塊の中で酸素不足の環境下、細菌による発酵を経て初めて高分子から低分子へと進みます。
「食べる」という日常語が纏うイメージと、実際の生物学的プロセスの間には、大きな乖離がある。水処理における「生物が分解・処理する」という概念もまた、こうした複雑で動的なプロセスの連鎖であることを、この研究は雄便に物語っています。
(4) サモア独立国へ繋がった、ドイツ発の「上向流粗ろ過」
ミクロの金魚の糞から、話はマクロな国際舞台へと飛躍します。
2022年に独立60年を迎えたサモア独立国(Independent State of Samoa)。先生がJICAの技術支援でアラオア浄水場を訪れた際、そこには薬品を使わない濁り水対策「上向流粗ろ過(URF)」が、すでに見事に機能していました。1988年のロンドン国際会議で発表されたばかりのこの技術を、ドイツ政府の援助によってわずか2年後に現地へ導入・稼働させていた--その実行力に先生は深い驚きを覚えます。
途上国や山間地域で本当に持続可能な水処理とは何か。高度な薬品処理でも複雑な機械でもなく、「自分で判断し、自分で直せる単純な仕組み」であるという確信を、この体験はさらに強固なものにしました。インフラ整備の裏に流れるお金と宣伝のプロパガンダを見抜き、地域の実情に適したスマートテクノロジーを選び取る眼が、今こそ求められています。
(5) 「緩速ろ過(Slow)」の誤解を解き、日本中の水を「特級水」へ
「Slow Sand Filter(緩速ろ過)」の「Slow」は、流速の遅さを指すのではありません。先生が提唱し続けるのは、「生物群集が流されることなく、安心して活躍できる環境」としての「Slow」の再定義です。
魚が死ぬほどの塩素処理を「安全な水」と呼ぶ現代の水道--このパラドックスに、先生は静かに、しかし毅然として異議を唱えます。微小な生物たちが安心して活躍できれば、ろ過水はスーパークリーンになる。その哲学を体系化した「生物浄化法(Ecological Purification System)」という呼称への変更を、先生は改めて強く提唱します。
著書『おいしい水のつくり方─2』は国際舞台でも注目を集め、生物経済学の思想に根ざした自然の摂理を賢く活かした浄化技術は、今まさに世界へと広がりつつあります。「生でおいしい水道水」が日本中に届く未来は、遠くありません。
【3. 災害下の水について】
東京都水道局の災害対策:予防対策と応急対策の包括的取り組み
東京都水道局では、首都直下地震や富士山噴火などの災害による水道機能の停止を防ぐための「予防対策」と、仮に断水が発生した場合に備えた「応急対策」をハード・ソフトの両面から総合的に実施しています。今週の災害と水では、以下に東京都のハードとソフトの両面の 対策をまとめます。
1. 水道機能の停止に陥らないための対策(予防対策)
地震に対する施設・管路の耐震化
首都直下地震等の大規模地震が発生しても被害を最小限に抑えるため、水源から蛇口に至るまで水道システム全体の耐震化を推進しています。小河内貯水池などの貯水池では、堤体強化工事等を実施し、耐震性を向上させています。また、浄水場では、非常時における水を確保するため、浄水処理の最終段階である「ろ過池」や「配水池」の耐震化を優先的に実施し、現在は能力低下を伴わないよう浄水処理の系列ごとに耐震化を進めています。
配水管については、地震で大きく揺れても抜け出しにくい耐震継手管への取替えを計画的に進めており、首都中枢機関や避難所などの重要施設への供給ルートは既に概成しています。現在は震災時の断水率が高いと想定される取替優先地域の耐震継手化を重点的に推進しています。さらに、避難所や主要駅の給水管の耐震化や、私道内に布設された給水管をステンレス鋼管等へ取り替えるなど、末端に至るまでの耐震化も実施しています。
バックアップ機能の強化
個々の施設が災害で損傷・機能停止しても給水を継続できるよう、導水施設の二重化や送水管のネットワーク化を進めています。これにより、別ルートからの送水が可能となり、水道システム全体でのバックアップ機能が強化されています。
大規模停電対策
地震やその他の災害による大規模停電時や電力使用制限時でも、浄水処理や送配水に必要な電力を自立して確保できるよう、浄水場や給水所等に自家用発電設備(常用発電設備および非常用発電設備)の新設や増強を進めています。さらに、72時間連続で運転できる量の燃料を可能な限り確保し、電力の途絶に備えています。
富士山噴火(降灰)および風水害対策
富士山噴火などに伴う火山灰が原水に混入することを防ぐため、浄水施設の更新に合わせて浄水処理施設を建屋型として完全に覆蓋化(屋内化)する計画を進めています。また、更新までの当面の措置として、沈殿池をシート型で覆う異物混入対策も実施しています。
さらに、近年激甚化する台風や集中豪雨などの風水害対策として、浄水場などへの止水堰や防水扉の設置を進めるとともに、河川の氾滅で流出の恐れがある水管橋などの河川横断管路の地中化を進め、断水リスクの軽減を図っています。
2. 仮に断水が発生した場合の対策(応急対策)
万が一、災害によって断水が発生した場合には、都民の飲料水を確保するため、「災害時給水ステーション」を開設して応急給水を実施します。都内213箇所の浄水場、給水所、応急給水槽などが指定されており、全体で都民の約3週間分以上の飲料水を確保しています。
さらに、応急対策を迅速に行うための基盤として、全国の水道事業体や大都市間での覚書に基づく相互応援体制を構築しているほか、隣接する埼玉県や川崎市との間には連絡管を整備し、非常時には水を相互に融通する仕組みを整えています。
また、水道緊急隊が組織されており、スマートメータを活用して水圧を確認し、発災直後に首都中枢機関等への供給ルートの確保や、給水車を用いた災害拠点病院などへの応急給水活動を機動的に行います。平時から多様な主体と連携した実践的な訓練を繰り返し実施し、組織と職員の危機対応力を強化しています。
23区内での対策
区部の災害時給水ステーションは、公園や都立学校などの地下に設置された「応急給水槽」が多くを占めています。応急給水槽は水道管とつながっており、常に新鮮な水が循環する仕組みですが、災害時には水の出入りを止めて貯留水として活用します。開設の際は、区が資器材を設置し応急給水を行います。
また、浄水場や給水所などの水道施設では、敷地内の一部に応急給水エリアが設けられ、水道局や区の職員、さらにはあらかじめ区から指定を受けた周辺住民が参集して給水活動を行います。これを補完するため、避難所に設置された応急給水栓や、あらかじめ指定した消火栓に仮設給水栓を設置しての給水も区市町が主体となって実施します。
区外(多摩地区)での対策
多摩地区の災害時給水ステーションは、浄水所や給水所等の水道施設が多くを占めています。これらの施設では、区部と同様に敷地内の応急給水エリアにおいて、水道局と市町の職員が協力して応急給水を行うほか、あらかじめ指定を受けた地域住民による自発的な給水活動も可能な仕組みを整備しています。一部の公園などには応急給水槽も設けられています。
また、多摩地区は起伏に富んだ地形が多いため、地域特性に応じた配水区域の再編や給水所の拡充が行われています。山間部などで送水管の二系統化(バックアップ)が困難な給水所では、配水池の容量を拡充するとともに、自然流下方式の配水池には緊急遮断弁を設置して貯留水が流出するのを防ぐ対策が講じられています。さらに、土砂災害警戒区域などに位置し、がけ崩れ等で施設が孤立して予防対策だけではバックアップが困難な事態に備え、応急給水の手段として、原水などを浄化できる「可搬式浄水設備」の導入も進められています。
このように東京都水道局では、多様な災害脅威からライフラインを守るための事前の設備強化と、万一の際の多様な主体が連携した迅速な給水体制の構築により、安全・安心な水の確保に万全を期しています。
【4. Q&A 現場の悩み相談】
MF膜ろ過装置はどのような頻度で部品交換やメンテナンスが必要ですか?
おおむね3か月を目安に交換用の膜に取り換えます。取り外した膜は薬品洗浄を実施後、保管溶液を充填し保管します。
膜以外の駆動機器(ポンプ、電動弁)については、年に一度、電流値や動作音(振動)の確認をし異常がないか確認します。
【5. 編集後記】
今週は以前に書くといいつつかけていなかった給水区域の記事を書きました。ただ、長くなりすぎたので、残り半分は次回に回しています。
また今週、出張のついでに磐田市のかぶと塚公園のヤマハの公園の水浄化装置を見てきました。が、残念なことに水が流れていませんでした。公園の水路に流れていなかったので、そのせいでしょうか。節約のためなのか、渇水の影響なのかわからないのですが。またそのうち身に行けたらよいなと思います